萬松寺

萬松寺のご紹介

愛知県名古屋市中区大須にある萬松寺（ばんしょうじ）は、歴史ある単立の寺院で、織田家の菩提寺として知られています。寺の山号は亀嶽林（きがくりん）、本尊には十一面観世音菩薩が祀られています。織田信長や徳川家康をはじめとした戦国武将との縁が非常に深く、名古屋の重要な観光名所としても位置付けられています。

歴史的背景

萬松寺の創建は天文9年（1540年）で、織田信秀によって建立されました。当初は那古野城の南側にあった寺院で、信秀の叔父である大雲永瑞和尚が開山の役割を果たしました。開設当初は現在の中区錦や丸の内2丁目、3丁目にかけて広大な寺領を有していましたが、慶長15年（1610年）に名古屋城の築城に伴い、現在の大須3丁目に移転しました。

移転後も萬松寺は、尾張徳川家により大切にされ、慶安4年（1651年）には徳川義直の室である高原院の御霊屋が建立されました。1904年にはシャム国から日本に送られた仏舎利が覚王山日泰寺へ運ばれる際、萬松寺からの行列が出発しました。さらに、1912年に第37世大円覚典和尚が寺の山林を開放し、現在の大須3丁目が形成されるきっかけとなりました。

しかし、1945年の名古屋大空襲で寺は全焼し、その後長らく本堂の再建はなされませんでした。1994年には地下1階、地上5階の鉄骨鉄筋コンクリート造の仏殿が完成し、再び賑わいが戻りました。2016年には曹洞宗との被包括関係を終了し、単立寺院としての運営を始めました。

境内の特色と文化

萬松寺の境内には現在も多くの文化財や建物が存在します。本堂は1994年に建てられ、1階部分が本堂として使用されています。2階には開山堂と位牌堂があります。更に地下1階から5階までの各階には様々な納骨堂があり、屋上には鐘楼堂があります。

また、境内には不動堂と白雪稲荷堂も存在し、白龍館では身代わり不動明王の石像が祀られています。特に不動明王にまつわる伝説は、織田信長とのつながりを示す興味深い歴史です。信長が狙撃された際、彼が持っていた干し餅のおかげで命拾いをしたという話があります。

からくり人形と将棋の関係

萬松寺にはからくり人形があり、これが名物の一つとなっています。「抹香投げつけ」や「敦盛を舞う」信長を再現したこれらの人形は、8代目玉屋庄兵衛の手によるもので、2011年には修復も行われました。

さらに、萬松寺は近年将棋との関係を深めており、2017年からは将棋のタイトル戦の開催が行われています。若住職の将棋ファンの影響で、名古屋の将棋界を盛り上げるべく、今回の改築では対局中継のための工夫が施されました。こうして、万松寺は歴史だけでなく、現在の将棋文化にも貢献しています。

現在と未来

萬松寺は、戦後の復興を経ながら多くの歴史的事件や文化とともに歩んできました。今では名古屋の重要な観光地の一つであり、国内外から訪れる多くの人々に愛されています。今後もこの名寺が多くの人々にとっての憩いの場所となり、歴史と文化の証人であり続けることでしょう。

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