覚王山日泰寺

覚王山日泰寺

覚王山日泰寺は、愛知県名古屋市千種区法王町に位置する、宗派を超えた寺院です。タイ王国から寄贈された仏舎利（釈迦の遺骨）を安置するために創建されました。「覚王」は釈迦の別名であり、「日泰」は日本とタイ王国を表しています。

概要

日泰寺は、考古学的な裏付けがなされた仏舎利を所蔵しています。1900年前後、インドで発掘された仏舎利がタイ王国を経由して日本へ譲渡される際、真身舎利への信仰や安置場所を巡る争いが起こり、大きな話題となりました。現在、日泰寺の知名度はかつてほど高くはありませんが、日本仏教界において特別な位置を占めています。

真宗大谷派、浄土真宗本願寺派、曹洞宗など複数の宗派が合同で設立した超宗派の単立寺院であり、19の宗派の管長が3年交代で住職を務めます。境内北側の僧堂は曹洞宗が管理しています。住職は宗派の異なる経を唱えることもあるそうです。

本堂から離れた場所にある「奉安塔」には真身舎利が安置されています。一般参拝者の拝観が認められていないことに対し、仏陀の教えに反するとの指摘もあります。境内には、真身舎利を寄贈したラーマ5世の像があり、在日タイ大使は誕生日に参拝するのが恒例となっています。また、多くの在日タイ人も訪れます。

毎月21日には、境内と約600メートルの参道に露店が並び、多くの人々で賑わいます。

起源と歴史

1898年（明治31年）：インドのピプラーワー村で、仏教の開祖である釈迦の遺骨、真身舎利が発見されました。
1899年（明治32年）：舎利がイギリスからシャム国（現在のタイ王国）へ譲渡されました。
1900年（明治33年）：シャム国王ラマ5世から日本国民へ舎利が贈られました。
1904年（明治37年）：舎利と黄金の釈迦像を奉安するため、覚王山日暹寺として創建されました。
1914年（大正3年）：伽藍が整備されました。
1949年（昭和24年）：シャム国のタイ王国への改名に合わせて日泰寺に改名されました。

境内

文化財指定されている一部の建物を除き、本堂、普門閣、山門などのほとんどが鉄筋コンクリート造りです。創建当時は約10万坪だった境内は、現在約4万坪となっています。

本堂: 1984年に落成。内部には、1900年にタイ政府から贈られた釈迦金銅仏が本尊として安置されています。本尊両脇の絵画は高山辰雄の作品です。
普門閣: 本堂西側にある多目的会館です。
五重塔: 1997年建立。高さ30メートル。瑠璃光寺（山口県）をモデルに製作されました。
山門: 1986年建立。左右に円鍔勝三作の阿難・迦葉像が安置されています。
鳳凰台: 大書院。名古屋市指定文化財ですが、非公開です。
八相苑: 鳳凰台の北側に位置する近代的な枯池式日本庭園。非公開です。
草結庵: 江戸中期の茶人、高田太郎庵好みの茶室。愛知県指定文化財ですが、非公開です。
同夢軒: 草結庵の副席として建てられた茶室。非公開です。
僧堂: 現在は曹洞宗の専門修行道場となっています。
奉安塔: 1918年に建てられた、真身舎利を安置するための塔。伊東忠太がガンダーラ様式を模して設計しました。愛知県指定文化財。塔の中に真舎利が格納されていますが、場所は不明です。
奉安塔礼拝殿・通天門・土塀: 登録有形文化財です。
日清戦争戦没記念碑

主な行事

毎月21日：縁日
1月1日～3日：元旦祈祷（一般参拝客の参加はできません）
3月15日：涅槃会（一般参拝客の参加はできません）
3月下旬：春季彼岸会
4月8日：灌仏会（花祭り）
6月15日：奉安記念法要（一般参拝客の参加はできません）
8月13日～15日：盂蘭盆会
8月24日：地蔵盆会
9月下旬：秋季彼岸会
10月23日：チュラロンコン大王法要（タイ大使館主催、一般参拝客の参加はできません）
11月15日：奉遷記念法要（一般参拝客の参加はできません）
12月8日：成道会
12月31日：年末祈祷（一般参拝客の参加はできません）

葬式を挙げた著名人

前畑秀子
桑原幹根
豊田喜一郎
豊田利三郎
西川右近

所在地

愛知県名古屋市千種区法王町1-1

交通手段

名古屋市営地下鉄東山線 覚王山駅から徒歩約5分

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