萬氏尸逐侯鞮単于

萬氏尸逐侯鞮単于（ばんししちくこうていぜんう）

萬氏尸逐侯鞮単于（生年不詳 - 124年）は、後漢時代の南匈奴の単于です。彼は湖邪尸逐侯鞮単于の子として生まれ、名は檀、虚連題氏を姓としました。萬氏尸逐侯鞮単于は称号であり、彼の生涯は、南匈奴が後漢王朝との関係を維持しつつ、周辺民族との間で紛争を繰り返した時代を反映しています。

生涯

98年、従兄である亭独尸逐侯鞮単于の死後、檀は萬氏尸逐侯鞮単于として即位しました。即位後、彼は積極的に軍事行動を展開し、逢侯を討伐しました。この結果、逢侯の勢力は急速に衰退しました。

104年、北匈奴は後漢に使者を送り、和親を求めました。しかし、後漢朝廷はこれに応じず、使者に対して厚い贈り物を与えるにとどめました。翌年も同様の対応が繰り返されました。

109年、南単于に仕えていた漢人の韓琮が、後漢の国内事情（関東地方の洪水と飢餓）を理由に、単于に対して後漢を攻撃するよう進言しました。単于檀はこの進言を信じ、兵を挙げて使匈奴中郎将の耿種を美稷で攻撃しました。これに対し、後漢朝廷は行車騎将軍の何熙と副中郎将の龐雄を派遣し、鎮圧に当たりました。

110年、単于檀は千余騎を率いて常山・中山を侵略しました。後漢朝廷は西域校尉の梁慬を行度遼将軍に任命し、遼東太守の耿夔とともに討伐に当たらせました。その後、単于檀は使者を派遣して降伏を願い出て、龐雄らに謝罪しました。後漢朝廷はこれを受け入れ、単于檀の処遇を以前と変わらないものとしました。

121年、鮮卑が後漢の辺境を侵略した際、度遼将軍の耿夔は温禺犢王の呼尤徽とともに、新たに降伏した人々を率いて鮮卑を討伐しました。耿夔は、降伏者たちを要害の地に配置したり、軍事作戦の際に徴兵したりしたため、降伏者たちの反感を買うことになりました。このことが後に反乱を引き起こす一因となりました。

124年、萬氏尸逐侯鞮単于は亡くなり、弟の抜（烏稽侯尸逐鞮単于）が後を継ぎました。

萬氏尸逐侯鞮単于の治世は、南匈奴が後漢の支配下で一定の自治を保ちながらも、周辺民族との紛争や内部対立に苦しんだ時代でした。彼の政策は、南匈奴の安定と後漢との関係維持に一定の役割を果たしましたが、同時に新たな問題も引き起こしました。

参考資料
* 『後漢書』（南匈奴列伝）

もう一度検索