落語天女おゆい

落語天女おゆい

『落語天女おゆい』は、2006年1月から3月にかけて放送された全12話のテレビアニメ作品です。この作品の最大の特徴は、落語という伝統芸能を大胆に取り入れた点にあります。現代に暮らす普通の女子高生たちが、ひょんなことから江戸時代にタイムスリップし、妖魔や妖怪と戦う天女に変身するという、奇想天外なストーリーが展開されます。

作品概要

本作は、落語の要素を全面的にフィーチャーした構成が特徴です。原作者は、落語家でありながらゲームやアニメにも造詣が深い桂歌若氏が務めています。制作には落語芸術協会が協力しており、協会75周年記念企画の一環として制作されました。作中には、桂歌丸・冨士子夫妻をはじめ、三遊亭小遊三など、落語芸術協会所属の落語家が多数出演している点も注目です。

また、アニメ本編の続編として、舞台を現代に移した漫画版『落語天女おゆい〜月島唯・現代篇〜』が『月刊サンデージェネックス』で連載されました。さらに、アニメ本編の前日譚を描いた小説『落語天女おゆい―落語研究会復活編』も刊行されています。

落語の要素以外にも、原作者の桂歌若氏が熱心なサクラ大戦ファンであることから、作中に類似性が見られるなど、様々なエンタメ要素が盛り込まれています。

あらすじ

物語の主人公は、日本橋学園に通う高校2年生の月島唯。落語を愛し、理想の男性は桂歌丸という、江戸っ子気質の少女です。そんな彼女が、ある日突然現れた宝珠の力によって、幕末の江戸時代にタイムスリップしてしまいます。

当時、江戸や京では妖魔や妖怪が跋扈しており、邪悪な存在が世を支配しようとしていました。こうした悪に対抗するため、天女や実在の人物たちが戦っていました。唯は宝珠の力で天女として覚醒し、言葉を武器に戦う「落語天女」となります。同じく現代からタイムスリップした飛鳥山雅、谷中妙、小石川鈴、千石涼、内藤晶の5人も天女として覚醒し、唯とともに戦うことになります。

登場人物

落語天女

月島 唯（つきしま ゆい）
声 - 後藤沙緒里
老舗食堂の看板娘で、アホ毛が特徴の熱血少女。落語が大好きで、桂歌丸の大ファン。黒の宝珠を受け継ぎ、言霊天女（落語天女）として覚醒します。必殺技は「落とし話」。
飛鳥山 雅（あすかやま みやび）
声 - 小島幸子
飛鳥山財閥の令嬢で、お嬢様育ち。赤の宝珠を受け継ぎ、言霊天女（落語天女）として覚醒します。弓矢を武器に戦います。
谷中 妙（やなか たえ）
声 - 沢城みゆき
眼鏡をかけた天然ボケの少女。黄色の宝珠を受け継ぎ、神楽天女として覚醒します。水龍や水の花火を操り、炎を消すなどの技を使います。
小石川 鈴（こいしかわ すず）
声 - 清水愛
300のIQを持つ天才少女で、江戸オタク。黄色の宝珠を受け継ぎ、計略天女として覚醒します。豊富な知識を活かして戦います。
千石 涼（せんごく りょう）
声 - 小林ゆう
クールな美少女剣士。青の宝珠を受け継ぎ、剣客天女として覚醒します。神刀・和泉守兼定を操り、敵を斬撃します。
内藤 晶（ないとう あきら）
声 - 野田順子
鈴の相棒で、発明とバイク好きの姉御。白の宝珠を受け継ぎ、機巧（からくり）天女として覚醒します。様々な機巧やブーメランを武器に戦います。

落語天女を応援する仲間たち

三遊亭 圓朝（さんゆうてい えんちょう）
声 - 堀内賢雄
近代落語の祖で、天女たちの元締め役。江戸っ子気質で、天女たちを導きます。
平賀 源内（ひらが げんない）
声 - てらそままさき
みんなの相談役で、良き理解者。晶に恋心を抱きます。
土方 歳三（ひじかた としぞう）
声 - 加瀬康之
新撰組の鬼の副長。涼に剣術のアドバイスを送ります。
ポン太
声 - 小島めぐみ
狸の国から来た使者の子供で、鈴の友達。
桂 歌丸（かつら うたまる）
声 - 桂歌丸
落語界の鉄人。唯の弟子入りを渋々ながらも認める。
三遊亭 小遊三（さんゆうてい こゆうざ）
声 - 三遊亭小遊三
歌丸の古馴染み。学園祭で落語を披露します。
葛西 哲治（かさい てつはる）
コミック版のみ登場。唯の幼馴染。

先代の落語天女たち

お銀（おぎん）
声 - 富沢美智恵
先代の言霊天女（落語天女）で、6人のリーダー。
お久（おひさ）
先代の言霊天女（落語天女）。
お花（おはな）
先代の計略天女。
お節（おせつ）
先代の神楽天女。
お咲（おさき）
先代の機巧天女。
お夏（おなつ）
先代の剣客天女。

敵キャラクター

小塚原 左京（こつかはら さきょう）
声 - 真殿光昭
妖魔を率いる悪党の総大将。
小塚原 右京（こつかはら うきょう）
声 - 石田彰
悪党の総大将の弟。歌舞伎役者の顔を持つ。
暗黒龍（あんこくりょう）
左京が作り出した巨大な魔龍。

スタッフ

原作 - 桂歌若
監督 - 高本宣弘
シリーズ構成・脚本 - 頼経康史
キャラクター原案 - 堀越和音
キャラクターデザイン・総作画監督 - 大島美和
アニメーション制作 - ティー・エヌ・ケー

主題歌

オープニングテーマ「サクラサク」
歌 - Little Non
エンディングテーマ「花吹雪・恋吹雪」
歌 - 鹿島ひろ美

その他

本作では、言霊が重要なキーワードであり、五不動の結界で守られた江戸を舞台に物語が展開されます。また、作中に登場する呪文は、落語の演目「死神」に由来するなど、落語の世界観が随所に散りばめられています。

関連商品

漫画
『落語天女おゆい〜月島唯・現代篇〜』
解説本
『落語天女おゆい―落語研究会復活編』
音楽CD
各種主題歌、キャラクターソング、サウンドトラックCD
DVD
* 全6巻。


『落語天女おゆい』は、落語という伝統芸能とアニメーションを融合させた、斬新なアイデアが光る作品です。落語ファンはもちろん、アニメファンも楽しめる作品と言えるでしょう。

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