葉延

葉延（ようえん、319年? - 351年?）は、五胡十六国時代の吐谷渾の首長であり、吐谷渾を初めて国号としたことで知られています。

生涯

葉延は、吐谷渾の初代首長である吐延の長男として生まれました。父である吐延が昂城羌の首長、姜聡に暗殺されるという事件が起こります。吐延は死に際し、部下の紇抜泥に対し、白蘭に落ち延びて幼い葉延を補佐するように遺言しました。その後、葉延が吐谷渾の首長を継承しました。

葉延は、父の仇である姜聡への復讐を誓い、毎日草で姜聡の人形を作り、それを射るという行為を繰り返しました。人形に命中すると号泣し、外れると目を怒らせて大声で叫んだといいます。彼の母が「姜聡は既に討たれたのに、なぜそのようなことをするのか」と尋ねると、葉延は「人形を射る行為が復讐に繋がらないことは承知しています。しかし、これは私の復讐への強い意志を示すためなのです」と答えました。このエピソードは、彼の強い復讐心と、それを実行しようとする意志の強さを表しています。また、葉延は非常に孝行心に厚い人物としても知られており、母親が病気で5日間食事を摂らないときには、自身も絶食したと伝えられています。

成長した葉延は、落ち着きのある人物となり、天地の創造や帝王の歴史を学ぶことを好みました。司馬の薄洛鄰が「私達は学がないため、三皇が誰の子で、五帝が誰を母として生まれたのかを知りません」と告白した際、葉延は「伏羲より以来、予言や天文に関する記述は数多く存在する。あなた方の知識が不足していることを卑下する必要はない。『夏の虫は冬の氷を知らない』ということわざがあるように、知識には限界があるのは当然だ」と諭しました。この言葉は、葉延の広い見識と、相手の立場を理解する姿勢を示しています。

また、葉延は「礼記に、公孫の子は祖父の字を氏とするという。私の祖父は昌黎郡からこの地に移住した。今、吐谷渾を氏とするのは、祖父を尊敬するからである」と述べ、吐谷渾を氏（姓）とし、国号としても採用しました。これにより、吐谷渾という名前が正式に国の名前として確立されたのです。

葉延は、在位23年にして33歳で亡くなりました。彼には4人の息子がおり、長男の辟奚が後を継ぎました。

参考文献

『晋書』四夷伝
『宋書』鮮卑吐谷渾伝
『魏書』吐谷渾伝
『梁書』諸夷伝
『北史』四夷伝下
『南史』夷貊伝下

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