葉昇

葉昇（よう しょう）は、生年不詳ながら、1392年に処刑された元末明初の軍人です。彼の生涯は、激動の時代を反映しており、その活躍と悲劇は、歴史に深く刻まれています。

朱元璋への帰順と初期の活躍

葉昇は、本貫を廬州合肥県に持ち、元末の混乱期に左君弼が廬州を拠点とした際、合肥から脱出し、朱元璋に帰順しました。この決断が、彼の軍人としてのキャリアを大きく切り開くことになります。朱元璋の麾下に入った葉昇は、右翼元帥として戦いに参加し、江州攻略で武功を挙げました。その後も、指揮僉事として張士誠討伐に従事し、府軍衛指揮使として明州の平定に貢献するなど、着実に功績を重ねていきます。

明朝成立後の活躍

明朝が成立した1370年（洪武3年）には、その功績が認められ、僉大都督府事に任命されました。翌年には、湯和に従い水軍を率いて夏を攻め、その武名をさらに高めます。その後、都指揮使に昇進し、西安に駐屯して守備を固め、慶陽の反乱を鎮圧するなど、地方の安定にも貢献しました。1379年（洪武12年）には、再び僉大都督府事を務め、西番の反乱鎮圧では都督の王弼とともに活躍し、乞失迦を降伏させ、その部落を制圧しました。さらに、延安のバヤン・テムル討伐、洮州の少数民族の首長を捕縛するなど、各地でその軍事的な才能を発揮しました。これらの功績により、靖寧侯に封じられ、世指揮使とされるという栄誉に浴しました。

遼東での活躍と高麗との関係

葉昇は、遼東に駐屯し、海州、蓋州、復州の三城を修築し、北方からの外敵の侵入を防ぐ重要な役割を果たしました。6年間、遼東に駐在し、辺境の防備を固めた結果、外敵はあえて侵攻しようとしませんでした。また、高麗からの贈賄を洪武帝に報告したことで、唐勝宗と共に褒賞を受けるなど、その忠誠心も高く評価されました。

雲南、湖広での反乱鎮圧

1387年（洪武20年）、葉昇は陳桓と共に、雲南の定辺、姚安に軍営と屯田を設け、畢節衛を監督しました。翌年には、東川・龍海の少数民族による反乱が発生すると、参将として沐英に従い、これを鎮圧しました。1389年（洪武22年）には、湖広安福所千戸の夏徳忠が九渓洞の少数民族を誘って反乱を起こすと、胡海らと共にこれを討伐し、反乱軍の後背を突いて夏徳忠を捕らえました。さらに、永定・九渓の二衛を設置し、襄陽に駐屯します。1390年（洪武23年）には、贛州の山賊が湖広峒の少数民族と結んで反乱を起こすと、副将軍として胡海らと共にこれを鎮圧し、17000人の捕虜を得ました。

最期と評価

1392年（洪武25年）、葉昇は甘粛・河南で練兵中に、胡惟庸と連絡を取っていたことが発覚し、処刑されました。彼は、藍玉とも姻戚関係にあり、藍玉の獄が起こると、胡藍両党に属していたとされ、悲劇的な最期を遂げました。葉昇の生涯は、その軍事的才能と忠誠心にもかかわらず、権力闘争の犠牲となったことを示しています。

葉昇は、その生涯を通して、数々の戦いで武功を挙げ、明朝の安定に大きく貢献しました。しかし、晩年の胡惟庸との関係が露呈したことで、その功績は全て帳消しにされ、処刑されるという悲劇に見舞われました。彼の人生は、歴史の無情さと権力闘争の恐ろしさを物語っています。彼の活躍は、『明史』巻131 列伝第19に記録され、後世に伝えられています。

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