唐勝宗

唐勝宗（とう しょうそう）は、生年不詳ながら1390年に処刑された元末明初の軍人です。本貫は濠州にあり、若くして朱元璋の軍に加わり、その後の明朝建国に大きく貢献しました。

初期の活躍

18歳という若さで朱元璋に帰順した唐勝宗は、その軍事的な才能をすぐに発揮しました。1355年には、朱元璋に従って長江を渡り、各地での戦いで功績を重ね、中翼元帥という重要な地位に就きました。1357年には、徐達と共に常州を攻略し、その勢いのまま寧国を包囲。この戦いでは、要地をしっかり抑え、敵の援軍を打ち破るという活躍を見せました。1358年には婺州の攻略戦にも参加し、その陥落に大きく貢献しました。

陳友諒との戦い

1360年、唐勝宗は池州攻略戦に参加し、陳友諒の軍勢を打ち破りました。この功績により、龍驤衛指揮僉事に抜擢され、その名をさらに上げました。1361年には、陳友諒に対する作戦で安慶に到達。敵軍が城を固く守る中、唐勝宗は敵を欺き、陸から攻めると思わせておいて、不意を突いて水寨を攻め落とすという奇策を成功させました。その後、南昌攻略にも参加し、江西の諸州を平定しました。1363年には安豊を救援し、廬州を攻める一方、鄱陽湖の戦いでは涇江口で陳友諒軍を迎え撃ち、これにも勝利。これらの功績により、驃騎衛指揮同知に昇進しました。さらに、武昌平定にも参加し、長沙・沅陵・澧陽を攻略しました。

明朝建国後の動向

1364年、徐達に従って江陵を奪取し、南京に凱旋。その後、淮東の平定に尽力し、地下道を掘って城壁を越えるという奇策を用いて安豊を攻略し、元の将忻都を捕らえました。この功績により、安豊衛指揮使として安豊を守ることとなりました。

1368年、明朝が成立すると、唐勝宗は徐達に従い中原攻略作戦に参加。汴梁、帰徳、許州を次々と攻略しました。1369年には延安を攻め落とし、都督府同知に進みます。そして1370年には、延安侯に封じられ、世襲の権利も与えられました。しかし、その後、勝手に駅騎を走らせた罪に問われ、爵位を剥奪され、指揮使に降格されるという事態に陥りました。しかし、代県の反乱者を捕らえたことで、長らく経て爵位を取り戻しました。

反乱鎮圧と最期

1381年、温州で葉丁香らが反乱を起こすと、唐勝宗は兵を率いてこれを鎮圧し、首謀者と3000人以上の仲間を捕らえました。さらに、安福の反乱も鎮圧し、臨安では元の右丞である兀卜台らを降伏させました。1382年には陝西を巡視し、屯田を監督し、軍士を選抜。翌年には遼東に駐屯し、洪武帝から高麗との通交を禁止するよう命じられました。高麗の使者が賄賂を贈ろうとした際には、これを上表して報告しました。1387年には、藍玉の副将として北伐に参加し、ゴビ砂漠まで進攻しました。

1390年、唐勝宗は軍を率いて貴州の少数民族の反乱を鎮圧。黄平、平越、鎮遠、貴州各地で軍士を訓練しましたが、同年、胡惟庸と共謀して反乱を計画したという疑いをかけられ、処刑され、爵位を剥奪されました。その生涯は、数々の戦功を挙げながらも、最後は悲劇的な結末を迎えることとなりました。

唐勝宗は、その卓越した軍事的才能と、時に奇策を用いた戦術で数々の勝利を収め、明朝建国に大きく貢献した人物ですが、その一方で、晩年は政争に巻き込まれ、悲劇的な最期を迎えた人物です。彼の生涯は、明朝初期の動乱と、その中で活躍した軍人たちの栄枯盛衰を象徴するものと言えるでしょう。

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