葛城一言主神社

葛城一言主神社

葛城一言主神社（かつらぎひとことぬしじんじゃ）は、奈良県御所市に位置する歴史的な神社です。式内社として名神大社に分類され、県社という旧社格を持ちます。地元では「いちごんさん」として親しまれ、葛城山の東麓に鎮座しています。

祭神

この神社の祭神には、主神である葛城之一言主大神（かつらぎのひとことぬしのおおかみ）と幼武尊（わかたけるのみこと）が祀られています。一言主大神は凶事と吉事を一言で示す託宣の神として知られ、現代においても一言で願いを叶えてくれる存在として信仰されています。『古事記』や『日本書紀』では、この神は「一言主」や「一事主」として言及されています。

古い文献によれば、雄略天皇との関係において一言主神の存在が確認されます。雄略天皇は葛城山にて狩猟中に一言主神に出会い、狩猟を競ったとされます。この時、神と天皇の関係が記述されており、記録によっては神が天皇に優位に描写されています。この二つの歴史書の内容は、葛城氏の勢力と皇室との関係に深く関わっていると考えられています。

さらに時代が進むと、一言主神は平安時代の文献の中で、役行者によって使役される場面が描かれています。この使役の際、一言主神はその顔の醜さを隠して夜間のみ働いたと言われ、そのエピソードは松尾芭蕉の詩にも表現されています。

歴史

神社の創建時期は不詳ですが、社伝では現在の地が一言主神が現れた場所と伝えられています。国史によると、嘉祥3年（850年）に「葛木一言主神」の神階が正三位に進められた記録があり、その後も神の地位は昇格し続けました。例えば、天安3年（859年）には従二位勲二等にまで昇叙された記録があります。

また、歴史的な文献『延喜式』神名帳では、この神社が名神大社として位置付けられており、月次祭や新嘗祭の際に朝廷からの供物を受け取ることが記されています。かつては神社の東南に一言寺が存在しましたが、現在は廃寺となっています。明治以降、神社は近代社格制度において村社に指定され、1883年には県社に昇格しました。

境内

社殿は1876年に改築されたもので、一間社流造のスタイルを持ち、屋根は銅板で葺かれています。拝殿の前には樹齢1200年とされる古いイチョウの木があり、神木として崇められています。境内には、神饌殿や社務所、神武天皇にまつわる伝説に基づいた蜘蛛塚も存在し、さまざまな文化的な象徴があります。

祭事

葛城一言主神社では、多くの年間祭事が行われており、特に歳旦祭や春の大祭、秋の大祭などが地元の人々に愛されています。これらの祭事は、地域住民の絆や信仰の表現として重要な役割を果たしています。

この神社は、奈良における歴史や文化、信仰の中心地として、人々の心に深く根付いています。

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