葛飾県印旛県庁跡

葛飾県印旛県庁跡について

葛飾県印旛県庁跡は、現在の千葉県流山市に位置する史跡です。この地は、明治初期に短期間存在した葛飾県と印旛県の県庁所在地として、歴史的な役割を担いました。現在、跡地には流山市立博物館と流山市立中央図書館が隣接しており、その一角に記念碑が建立されています。

歴史

この場所は、江戸時代には下総国葛飾郡加村の一部でした。江戸時代前期には、本多正重に始まる本多家の領地となり、その後、田中藩の飛び地領となります。1863年（文久3年）には、田中藩の陣屋が建設され、藩士が移住し飛び地領の管轄を行いました。陣屋の敷地は、現在の流山市役所から流山市立博物館にかけて広がり、中心的な建物は現在の流山市立博物館付近に位置していました。

明治維新後、1868年（明治元年）に田中藩は長尾藩となり、旧幕府領や諸藩領が入り組んでいた下総国では、明治政府によって新たな行政区画の再編が行われました。

1869年（明治2年）には、葛飾県が設置され、旧加村陣屋が葛飾県庁として使用されることになりました。その後、1871年（明治4年）の第1次府県統合によって、葛飾県を含む複数の県が統合され、印旛県が成立しました。印旛県の県庁は当初、佐倉に置かれる予定でしたが、適当な庁舎が見つからなかったため、一時的に本行徳村（現在の市川市）の徳願寺に置かれました。しかし、交通の便が悪いことから、1872年（明治5年）には旧葛飾県庁が印旛県庁として再び使用されることとなりました。

1873年（明治6年）、印旛県は木更津県と合併し、両県の境界である千葉に県庁を置く千葉県が誕生し、旧加村陣屋は県庁としての役割を終えました。その後、跡地は開墾や宅地化が進み、かつての面影はほとんど残っていません。

1977年（昭和52年）から1978年（昭和53年）にかけて、旧陣屋敷地の一部に市立博物館と図書館が建設される際、発掘調査が行われました。そして、1977年（昭和52年）6月には、市立博物館が開館し、同時に「葛飾県印旛県史跡」の記念碑が建立され、その歴史を今に伝えています。

場所

所在地：千葉県流山市加1225-6

アクセス：流鉄流山線流山駅下車、徒歩6分

脚注

注釈

特になし

出典

廣瀬早苗「『加村台御屋敷』―田中藩本多家藩士移転」『流山市史研究』第21号、流山市、2012年
『博物館でタイム・トリップ』流山市立博物館子ども向け展示ガイド、2006年3月25日、pp.40 - 41
『東葛観光歴史事典』流山市立博物館友の会、1997年、pp.46 - 47（該当箇所の執筆は相原正義）
流山市立博物館（編）『流山のむかし』流山市立博物館、1989年、p.117（「葛飾県・印旛県の成立と県庁跡」）

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