葛飾県

葛飾県について

葛飾県（かつしかけん）は、1868年（明治元年）に、明治政府によって下総国内の旧幕府領を管轄するために設置された県です。現在の千葉[[県]]北西部、埼玉[[県]]東部、茨城県西部にまたがる地域を管轄していました。本稿では、葛飾県の前身である下総知県事についても触れ、その歴史的背景を詳細に解説します。

概要

江戸時代末期、下総国は幕府領、旗本領、藩領、そして各藩の飛地領が複雑に入り組んだ地域でした。幕府の崩壊後、明治政府はこれらの幕府領・旗本領を接収。戊辰戦争の初期には、下総国内でも市川・船橋戦争や結城城攻防戦といった戦闘がありましたが、会津戦争や箱館戦争に比べると小規模で、比較的安定した状況でした。

このような状況下、1868年（慶応4年）5月7日、政府は佐賀[[藩]]主の鍋島直大を下総野鎮撫府に任命し、下総国と下野国を監督させました。しかし、下野国では旧幕府軍との戦闘が続いており、鎮撫府の活動は下総国内にまで及ばない状況でした。その後、下総野鎮撫府は宇都宮城に移転し、一部の佐賀[[藩]]兵が駐屯しましたが、実質的には支配下に服した下総諸藩が暫定的に地域を管理していました。

7月17日、下総野鎮撫府は廃止されましたが、その後の支配体制は未定でした。政府は8月4日、熊本[[藩]]士の佐々布直武を下総知県事に任命し、江戸府薬研堀（現在の東京都中央区東日本橋二丁目）に仮事務所を設置しました。この事務所は薬研堀御役所と呼ばれました。佐々布の出身である熊本[[藩]]からは、長岡護美が下総国内の治安維持を担い、葛飾県設置まで熊本[[藩]]兵が駐屯しました。しかし、これもまた暫定的な措置でした。

翌1869年（明治2年）1月13日、下総知県事に代わる本格的な行政組織として葛飾県が設置されました。薬研堀御役所は廃止され、県庁は旧駿河田中[[藩]]の代官所があった葛飾郡加村字坂之下（現在の千葉[[県]]流山市加一丁目の流山市立博物館付近）に設置されました。県名は県庁所在地である郡名に由来します。しかし、1871年（明治4年）の第一次府県統合により、印旛[[県]]が設置されたことで、葛飾県は廃止されました。

沿革

1868年（慶応4年）
閏4月21日：府藩県設置の政体書が公布され、府[[藩県三治制]]が施行。
5月7日：佐賀[[藩]]主の鍋島直大が下総野鎮撫府に任命され、下総国・下野国の両国を監督。
7月17日：下総野鎮撫府が廃止。
8月8日：熊本[[藩]]士の佐々布直武が下総知県事に任命。
12月18日：佐伯[[藩]]士の水筑竜が知県事に就任。
1869年（明治2年）
1月13日：葛飾県が発足。知事は水筑竜が務め、佐伯[[藩]]士の矢野光儀が権知事に任命。
1870年（明治3年）
1月12日：矢野光儀が知事に就任。
1871年（明治4年）
11月13日：第一次府県統合により印旛[[県]]に統合され、葛飾県は廃止。

管轄地域

葛飾県は13万6,000石を管轄し、戸口は40,040戸、人口は230,614人でした。管轄地域は以下の通りです。

下総国

猿島郡の一部
埴生郡の一部
千葉郡の一部
印旛郡の一部
香取郡の一部
相馬郡の一部
葛飾郡の一部

歴代知事

下総知県事

1868年8月4日 - 1868年12月18日：佐々布直武（熊本[[藩]]士）
1868年12月18日 - 1869年1月13日：水筑竜（佐伯[[藩]]士）

葛飾県

1869年1月13日 - 1870年1月12日：水筑竜
1870年1月12日 - 1871年11月13日：矢野光儀（佐伯[[藩]]士）

関連項目

下総国
印旛[[県]]
千葉[[県]]
茨城県
埼玉[[県]]
* 葛飾県印旛[[県]]庁跡

もう一度検索