蒲池鑑久

蒲池鑑久は、戦国時代の筑後国（現在の福岡県南部）で勢力を誇った武将です。蒲池氏は代々大友氏に仕え、鑑久もその例に倣い大友義鑑から偏諱を賜りました。父である治久の代に、本拠地を蒲池城から新たに築城した柳川城へと移しています。

鑑久は、筑後十五城の筆頭大名として、筑後地域の他の大名や小名を統率する立場にありました。弟の親広は山下城を拠点として分家し、本家筋にあたる柳川の蒲池氏を「下蒲池」、分家した山下の蒲池氏を「上蒲池」と呼んで区別しました。この「上」「下」は、それぞれ東西の方角を指しており、柳川が西方に位置するため本家が「下蒲池」、山下が東方に位置するため分家が「上蒲池」と呼ばれたとされています。

当時、九州の諸大名には、将軍の上洛に際して供奉するという慣例がありました。永正4年（1508年）には、鑑久の父である治久が足利義尹（義稙）に供奉した記録が残っています。しかし、『西国盛衰記』には、筑後十五城の筆頭であった蒲池鑑貞がこの慣例を怠ったため、天文年間（1532年～1555年）に府内（現在の大分市）に呼び出され、処刑されたという記述があります。この鑑貞が鑑久のことではないかという説も存在します。

当時の筑後国は、毎年八朔（8月1日）に筑後守護職である大友氏当主の検閲を受け、忠誠を誓う必要がありました。離反する者は討伐されるという決まりがあり、鑑久もまた、大友義鑑の命によって討伐された可能性があります。鑑久が亡くなったとされる年は、義鑑が肥後国守護に補任された年であり、この出来事は十分に史実として考えられます。

鑑久の死後、家督は嫡男である鑑盛が継ぎました。鑑盛は、引き続き大友義鑑・義鎮（宗麟）の二代に亘って臣従することとなります。

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