筑後十五城

筑後十五城

筑後十五城（ちくごじゅうごじょう）は、戦国時代の筑後国（現在の福岡県南部）において、大友氏の傘下にあった有力な国人領主、すなわち大身十五家の総称です。

概要

当時の筑後国には、地域全体を統一するような強大な勢力は存在せず、近隣の大名である大友氏が守護として影響力を行使していました。その大友氏の傘下で、各地の国人領主が互いに連携・共存する形で勢力を保っていました。特に力を持っていた15の家が「大身十五家」と呼ばれ、これが「筑後十五城」として知られています。

筑後を統括する筆頭格は、下筑後に広大な所領（約12万石相当）を有し、柳川城を本拠とした蒲池氏でした。『大友幕下筑後領主附』によれば、蒲池氏は本家である柳川の下蒲池と、分家である山下の上蒲池に分かれていました。これは、蒲池氏の勢力が強大化し、大友氏からの独立を恐れた大友氏が、蒲池鑑久の弟である蒲池親広に別家を立てさせ、大名として取り立てることで、蒲池氏の勢力を分散させる意図があったとされています。

筑後の領主たちは、大友氏の軍事力に従属する一方で、常に独立や敵対の可能性を秘めていました。そのため、大友氏は筑後国内に直轄の小豪族である「高一揆衆」を配置し、筑後十五城の動向を監視させていました。

龍造寺氏の侵攻と筑後十五城

大友氏が耳川の戦いで島津氏に大敗すると、肥前国を平定した龍造寺隆信が筑後への進出を開始し、筑後の国人領主たちは次々と龍造寺氏に参陣しました。当初は抵抗した上蒲池の蒲池鑑広や三池鎮実、問註所鑑景なども、最終的には龍造寺氏に従属しています。龍造寺隆信が島原沖田畷の戦いで戦死した後も、上蒲池氏、黒木氏、西牟田氏、草野氏、星野氏、問註所氏らは龍造寺家に忠誠を誓う起請文を送っています。

筑後十五城の筆頭である柳川の蒲池鎮漣は、龍造寺隆信の与力として活躍しますが、やがて両者は対立するようになります。隆信は柳川城を包囲し、蒲池鎮漣は籠城しますが、最終的に和睦します。しかし、鎮漣が薩摩の島津氏と内通していたことが発覚したため、隆信は鎮漣を肥前に呼び出して謀殺し、下蒲池氏を滅ぼして柳川を制圧しました。

このように、筑後の国人領主たちは、肥前の龍造寺氏、豊後の大友氏、薩摩の島津氏といった周辺の有力大名に比べて力が弱かったため、常にいずれかの庇護下に入り、生き残りを図らざるを得ない状況にありました。

筑後十五城の一覧

以下は、『大友幕下筑後領主附』などに記載されている筑後十五城の一覧です。

蒲池氏（柳川城、山下城）
三池氏（今山城）
黒木氏
西牟田氏
草野氏
星野氏
問註所氏
etc.

筑後十五城は、戦国時代の筑後国における複雑な勢力関係を象徴する存在であり、その動向は当時の歴史を理解する上で重要な要素となっています。

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