蒲焼町

蒲焼町（かばやきちょう）

概要

蒲焼町は、かつて愛知県名古屋市中区に存在した地名です。この地名は、名古屋城下町の碁盤割における東西の通り名に由来するとされています。しかし、その語源については複数の説が存在し、歴史的な背景とともに興味深い物語を伝えています。

町名の由来

蒲焼町の名前の由来には、主に以下の3つの説があります。

1. 遊郭に由来する説: 清洲越し以前から、この地には遊郭（飛騨屋町・ぞめき町）が存在していました。これらの遊郭で働く女性たちを指す「香倍（婆）」が焼かれる様子から、「香倍（婆）焼町」と呼ばれたとする説です。
2. 職人に由来する説: この地域に、桜の木の皮を焼いて加工する職人が住んでいたことから、「かんばやき」町と呼ばれるようになり、それが転じて「蒲焼町」になったとする説です。
3. 蒲焼を商う茶屋に由来する説: 名古屋城築城の際に、この地に集まった大工などの職人を相手に、蒲焼を商う茶屋が出現したことが、町名の由来となったとする説です。

これらの説は、当時の町の様子や人々の生活を垣間見せてくれます。

歴史

蒲焼町は、明治時代に梶川町から改称されて誕生しました。その後、時代の流れとともに、行政区の変遷や他の町への編入を経験し、その姿を変えてきました。

1871年（明治4年）9月29日: 梶川町が改称され、蒲焼町が誕生しました。
1876年（明治9年）: 一部が園井町に編入されました。
1878年（明治11年）12月20日: 名古屋区成立に伴い、名古屋区蒲焼町となりました。
1889年（明治22年）10月1日: 名古屋市成立に伴い、名古屋市蒲焼町となりました。
1908年（明治41年）4月1日: 東区成立に伴い、東区蒲焼町となりました。
1929年（昭和4年）6月1日: 一部が御幸本町通に編入されました。
1944年（昭和19年）2月11日: 栄区成立に伴い、栄区蒲焼町となりました。
1945年（昭和20年）11月3日: 栄区廃止に伴い、中区蒲焼町となりました。
1966年（昭和41年）3月30日: 住居表示実施に伴い、錦三丁目に編入され、蒲焼町はその歴史に幕を閉じました。

このように、蒲焼町は、その短い歴史の中で、さまざまな変遷を経験し、名古屋の歴史の一部として、その名を刻みました。

参考文献

福岡清彦『中区の町名』名古屋市中区役所、1976年。
名古屋市計画局『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年3月31日。

関連項目

名古屋市の地名

もう一度検索