清洲越し

清洲越しとは



清洲越し(きよすごし)とは、慶長17年(1612年)頃から元和2年(1616年)にかけて、名古屋城の築城に伴い、尾張の中心であった清洲から名古屋へと都市機能を移転した大規模な都市計画を指します。この移転によって、新たな都市「名古屋」が誕生しました。

この一連の都市移転は、文献によって「清須越」と表記されることもありますが、本稿では「清洲越し」で統一して記述します。

背景



関ヶ原の戦い1600年)後、徳川家康は豊臣氏の勢力に対抗するため、尾張の拠点として清洲城を重視していました。しかし、清洲城にはいくつかの弱点がありました。

水害: 庄内川下流域に位置するため水害が頻発した。
水攻め: 水攻めに弱く、兵糧の確保が困難。
液状化: 天正地震の影響で地盤が液状化していた。
規模: 城郭が小規模で、大人数の兵を駐屯させることができなかった。

一方、熱田台地には、かつて織田信長が拠点を移すまで那古野城がありましたが、廃城となっていました。清洲越し以前の熱田台地の様子はあまり詳しく分かっていませんが、後の名古屋城三の丸付近には若宮八幡社、天王社(現那古野神社)、萬松寺などの寺社、今市場などの商業地があり、清洲や熱田へ続く大きな町として機能していました。しかし、廃城によって原野が広がり、ニワトリやキジが生息するような場所も存在していました。

移転の決定



このような状況から、徳川家康は慶長14年(1609年)に、熱田台地に新たな城を築き、新しい都市を開発することを決定しました。慶長15年(1610年)には、西国大名による天下普請によって名古屋城の築城が開始されました。

移転の実施



慶長17年(1612年)頃には、名古屋城を北端とし、本町通を南北に、伝馬町通を東西に通した碁盤割の町割が実施されました。伝馬町通は東端で飯田街道と接続していました。碁盤割の範囲は、北は名古屋城外堀筋(現在の外堀通)、南は堀切筋(現在の広小路通)、東は久屋町(現在の久屋大通南行)、西は御園町(現在の御園通。伏見通りの一つ西側)まで広がっていました。御園町の西側には堀川が掘削されました。この碁盤割の範囲は、現在の丸の内と錦に相当します。

清洲越しによって、家臣や町人のみならず、神社仏閣も清洲から移転しました。社寺は3社110寺、清洲城下の町屋約2700戸のほとんどが名古屋に移り、清洲城の小天守も移築されました。町名も清洲から名古屋へ移され、町人は原則として移転前の町に居住することとされました。

影響



清洲越しは、名古屋の都市構造を決定づけただけでなく、人々の意識にも大きな影響を与えました。現在でも、名古屋では清洲越しを経験した旧家であることが、伝統と格式を示すものとされています。

清洲城下は一旦廃されましたが、後の美濃路の整備に伴い、清須宿として再興されました。

関連情報



名古屋城: 清洲越しによって築城された、名古屋のシンボル。
清洲城: 清洲越しの舞台となった、かつての尾張の中心。
山下氏勝: 清洲越しを提案したとされる人物。
四間道: 名古屋に残る古い町並み。
勝幡城: 織田信長の生誕地とされる城。
外部リンク: 名古屋開府400年 - Network2010

まとめ



清洲越しは、戦国時代の終わりから江戸時代初期にかけて行われた大規模な都市計画であり、名古屋という新しい都市の誕生をもたらしました。この移転は、単なる都市の移動にとどまらず、人々の生活や意識、そして都市の文化に大きな影響を与えました。

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