蒼き門の継承者

蒼き門の継承者

『蒼き門の継承者』は、[テーブルトークRPG]『ナイトウィザード』のノベライズ作品です。2004年にファミ通文庫から全1巻が刊行されました。菊池たけし氏監修のもと、犬村小六氏が執筆、石田ヒロユキ氏がイラストを担当しています。

概要

本作は、『ナイトウィザード』の小説としては最初の作品であり、プレイヤーが実際にキャラクターを作成し、そのキャラクターを主人公として物語が展開されるという、非常にユニークな試みが行われています。

ただし、菊池たけし氏の監修のもとで執筆されているものの、作中では敵対勢力の「エミュレイター」が「吸血鬼」として描かれており、人類との共存の余地がない存在として扱われています。本来、エミュレイターはファー＝ジ＝アースの一種族であり、ウィザードとして戦う者も少なくありません。また、「裏界」も「吸血鬼たちの世界」という設定になっており、「ナイトウィザード」公式の世界観とは設定に差異が見られます。そのため、ベール＝ゼファーなどの魔王は一切登場しません。

さらに、ゲスト出演している公式キャラクターであるナイトメアについても、性格設定などがリプレイのものとは大きく異なっており、設定面での混乱が見られます。これらの理由からか、後の商品展開において、本作の展開はほとんど無視されています。

ストーリー

物語は、輝明学園に通う高校2年生の春日祐介を中心に展開されます。貧乏で足が臭いという以外、特に特徴のない彼は、平凡な日常を送っていました。しかし、ある日、「空間が裂ける」という不思議な現象に遭遇したことをきっかけに、彼の日常は一変します。学園のアイドルである坂石美智子に言い寄られたり、転校生の九条水希に打ち倒されたり、国籍不明の外国人ニナ・シモンズが部屋に潜んでいたりと、次々と不可解な出来事が起こります。世界の真実に翻弄される中、祐介は自身の運命を知り、重大な決断を迫られることになります。

登場人物

主人公

春日祐介（かすが ゆうすけ）
クラス：転生者
属性：火／冥
ライフパス：清貧／足が臭い

本作の主人公。輝明学園に通う高校2年生。平凡な男子生徒でしたが、「蒼き門の継承者」としての運命に目覚めます。

九条水希（くじょう みずき）
クラス：吸血鬼
属性：虚／天
ライフパス：影の一族／超方向音痴

本作のヒロイン。祐介のルームメイトとして転校してきます。その正体は「背教者会議」のエージェントであり、祐介を正しい道へと導く使命を背負っています。

ニナ・シモンズ
クラス：人狼
属性：風／地
ライフパス：弟妹／破壊的音痴

祐介の部屋に突然現れた謎の少女。“夜会”から派遣されたエージェントであり、水希と共に祐介の覚醒をサポートします。

その他のキャラクター

坂石美智子（さかいし みちこ）

輝明学園のアイドル的存在。祐介に興味を示しますが、その正体は吸血鬼であり、「門」を開放しようとします。

坂石和磨（さかい かずま）

美智子の兄。尊大な性格で、祐介を敵視します。彼もまた吸血鬼であり、美智子と共に「門」の開放を企みます。

夜叉（やしゃ）

祐介の夢に出てくる謎の男。実は、祐介の前世の姿であり、かつての「継承者」でした。

ナイトメア

絶滅社と契約する夢使い。リプレイ「紅き月の巫女」からのゲスト出演ですが、本作では性格設定が大きく異なっています。

緋室灯（ひむろ あかり）

絶滅社所属の強化人間。ナイトメアのサポートとして登場。

用語

蒼き門

裏界に繋がるゲート。1000年に一度、「蒼き門の継承者」と呼ばれる転生者の体に宿り、表界に現れます。

* 斗拳剣（トツカノツルギ）

水希が所持する剣。「門の一族」が保持してきた守り刀であり、「継承者」がエミュレイター側に堕ちた場合に斬り捨てるためのものです。

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