蓬萊橋 (大井川)

蓬萊橋（ほうらいばし）

蓬萊橋は、静岡県島田市の大井川に架けられた美しい木造橋で、歩行者と自転車専用の構造となっています。全長は897.422メートル、幅は2.7メートルです。この橋は法律上農道とみなされ、島田市役所の管轄下にあります。橋脚は鉄筋コンクリート製であり、渡り板はすべて木製の有料橋として通行料金が設定されています。蓬萊橋は「厄なしの長生き橋」とも称され、長い木橋にちなむ由来があります。その名は、かつて静岡藩知事であった徳川家達が牧之原台地の美しさを「蓬萊山」と表現したことから来ています。

橋の歴史

江戸時代、大井川は東海道で最も渡るのが困難な場所として知られていましたが、江戸から明治にかけての期間、川に架ける橋や渡船は許可されていませんでした。そのため、大井川を渡るには川越人足に頼るほかありませんでした。1879年、ようやく旧幕臣が開拓した牧之原台地と東海道の島田宿を結ぶために、蓬萊橋が建設されました。完成後、橋は度重なる大井川の氾濫によって被害を受け、1965年に橋脚部分はコンクリートに改修されました。

新たに架けられた鉄筋コンクリート製の島田大橋が開通すると、地元の人々はそちらを利用するようになり、蓬萊橋の通行量は急激に減少しました。しかし、1997年12月30日には「世界最長の木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定され、観光名所として注目を浴びるようになりました。

年表

• - 明治12年（1879年）1月13日 - 橋が完成し、開通。原資は牧之原台地の開拓農民の出資によるもので、通行料金を収入源として維持管理されています。
• - 昭和40年（1965年） - 橋脚部分がコンクリート化され、耐久性が向上しました。
• - 平成9年（1997年）12月30日 - ギネスブックに認定され、「世界一の長さを誇る木造歩道橋」として名を馳せました。
• - 平成30年（2018年）3月 - 新たに物産販売所「蓬萊橋897.4茶屋」と勝海舟の銅像が完成し、観光資源が増加しました。

通行料金と規制

蓬萊橋には通行料金が設定されており、2022年現在では以下のようになります：

• - 大人（歩行者）: 100円
• - 小学生以下（歩行者）: 10円
• - 自転車: 100円

収入は維持管理に必要な費用となります。通行料金の支払いは、日中は橋の手前にある番小屋で行い、夜間は無人のため料金箱に投入する方式です。また、蓬萊橋は老朽化のため、かつてのリヤカーやオートバイの通行は禁止されており、現在は歩行者と自転車のみの使用が許可されています。

崩落と流失の歴史

蓬萊橋は多くの自然災害に見舞われ、しばしば崩落や流失の危険に晒されてきました。特に2000年、2003年、2007年、そして2011年には台風の影響で橋脚が流失し、何度も復旧工事が行われました。最後の大規模な修復は2012年に完了し、今日に至っています。

文化的な側面

蓬萊橋は、多くの文化作品にも取り上げられています。山本譲二の演歌『蓬萊橋』や、アニメ『とと姉ちゃん』など、様々なメディアでその姿を見ることができます。また、映画『超高速!参勤交代』では、急遽蓬萊橋でのロケが行われるなど、作品においてもその存在が際立っています。

このように、蓬萊橋は静岡の文化遺産として、観光名所だけでなく、地域の歴史と共に成長し続けています。

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