蓼 (春秋)

蓼（りょう）とは

蓼は、中国春秋時代に存在した複数の諸侯国を指します。同名の国が複数存在し、歴史書には複雑な経緯が記録されています。特に重要なのは、姫姓と偃姓の2つの系統を持つ蓼です。

姫姓蓼

位置: 現在の河南省南陽市唐河県に位置し、廖とも呼ばれていました。
歴史: 『春秋左氏伝』桓公十一年（紀元前701年）には、鄖（うん）の軍が蒲騒（ほそう）に陣を敷き、随（ずい）、絞（こう）、州（しゅう）といった国々と共に楚を攻めた際に、この蓼が連合軍の一員として参加したことが記されています。この記述から、楚の武王時代に、この蓼が楚への対抗勢力として重要な役割を果たしていたと考えられています。

『春秋左氏伝』哀公十七年の記述には、楚の大夫が先君である武王の時代に州と蓼を討伐し、その功績を回想する場面があります。この記録からも、楚と蓼の間には深い対立関係があったことがうかがえます。

偃姓蓼

位置: 現在の河南省信陽市固始県に位置していたとされています。庭堅（こうけん）または高陽（こうよう）の末裔とされています。
歴史: 『春秋左氏伝』文公五年（紀元前622年）には、楚の公子燮（しょう）によって滅ぼされたと記録されています。

位置に関する詳細な記述

姫姓蓼: 『春秋左氏伝』文公五年の記述によると、姫姓蓼は現在の河南省信陽市固始県の北東、都城は現在の安徽省六安市霍邱県城関鎮の付近にあったとされています。国都は固始県蓼城岡遺跡であるとされます。
偃姓蓼: 『春秋左氏伝』桓公十一年の記述によると、偃姓蓼は現在の河南省南陽市唐河県の南に位置していたとされています。

史書における蓼の記述

『史記』夏本紀: 禹（う）が皋陶（こうよう）の子孫（偃姓）を英と六に封じたと記されています。
『正義』: 英は蓼であり、虞蓼子国（ぐりょうしこく）であるとされ、殷（商）時代には徐州に属していたと解説しています。
* 『禹貢指南』: 殷が淮南（わいなん）と江北（こうほく）を割いて徐州を増益したとあります。

これらの記述から、蓼は春秋時代以前から存在し、様々な変遷を経てきたことがわかります。

まとめ

蓼は、春秋時代に重要な役割を果たした複数の国であり、特に姫姓と偃姓の蓼はそれぞれ異なる歴史と位置を持っていたことがわかります。楚との関係も深く、その興亡は春秋時代の歴史を理解する上で重要な要素となっています。

古蓼滄桑話水門という外部サイトも参考になるかもしれません。

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