蔡沢

蔡沢（さいたく）

蔡沢は、中国戦国時代の秦に仕えた宰相であり、その卓越した弁論術と政治手腕で知られています。燕の国で生まれ、各地を遊学して仕官の機会をうかがっていましたが、なかなか認められませんでした。

人相見との出会い

ある時、蔡沢は唐挙という人相見に占ってもらいました。唐挙は「あなたの寿命はあと43年でしょう」と言いました。蔡沢は笑って感謝し、「上等の食事をし、宰相として君主のそばに仕えることができれば、43年の寿命で十分だ」と豪語しました。

秦への道

趙に赴任するも、そこを追われ、韓・魏に向かう途中で賊に襲われました。その際、秦の宰相であった范雎が、自身の推薦した人物が罪を犯したことで内心恥じていると耳にしました。そこで蔡沢は秦へ向かい、范雎に「燕から来た蔡沢は、あなたにとって代わる存在になるだろう」と伝えさせました。范雎は蔡沢を呼び寄せ、その才能を試すことにしました。

范雎との対峙

蔡沢は范雎に対し、過去の忠臣たちの末路を例に挙げ、「功績を立てた者は身を引くべきだ」と説きました。蔡沢の言葉に感銘を受けた范雎は、彼を客として厚遇し、昭襄王に推挙しました。昭襄王は蔡沢の才能を認め、彼を宰相に任命しました。

宰相として

宰相となった蔡沢でしたが、数ヶ月後には周囲からの批判を恐れ、病気を理由に辞任しました。その後、彼は剛成君と呼ばれるようになり、昭襄王、孝文王、秦王政の三代に仕えました。

燕との同盟

秦王政8年（紀元前239年）、蔡沢は燕への使者として派遣されました。彼は3年の歳月をかけて燕との同盟を成功させ、燕の太子丹を人質として秦に送らせるという功績を挙げました。

蔡沢は、その弁舌と知略によって、秦の勢力拡大に大きく貢献した人物として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

司馬遷『史記』范雎蔡沢列伝第十九
劉向『戦国策』秦策三

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