蔭山和夫

蔭山 和夫（かげやま かずお）

蔭山和夫（1927年1月16日 - 1965年11月17日）は、日本のプロ野球選手であり、内野手として南海ホークスで活躍した。彼のキャリアは、印象的な成績と功績で彩られ、現在も多くのファンに愛され続けている。

学生時代と早稲田大学

蔭山は旧制市岡中学に在籍中、1942年に「幻の甲子園大会」と称される全国中等学校野球大会に出場したものの、1回戦で平安中の富樫淳に抑えられ、ノーヒットノーランを喫した。卒業後は早稲田大学に進学し、1946年の春季リーグ再開から内野手として全試合に出場し、3回の優勝に貢献した。1949年には主将を務め、最終的にリーグ通算92試合で打率.276、92安打を記録。74得点は当時のリーグ記録で、2008年に上本博紀に更新されるまで続いた。

プロ入りと南海ホークスでの活躍

1950年に南海ホークスに入団した蔭山は、開幕から主に二塁手として起用され、高い出塁率を記録した。その年、彼は15三塁打を放ち、当時の日本記録となった。この記録は、その後も長きにわたり新人の最多記録として君臨している。また、9本の本塁打を記録し、1961年に小池兼司と並ぶまで、2リーグ制以降の球団新人最多記録とされていた。

1951年には1番打者および三塁手としてプレーし、打率.315でリーグ2位となり、42盗塁でリーグ第3位にランクインした。この活躍により、新人王および初のベストナインに選ばれ、4年連続でオールスターゲームにも出場。巨人との日本シリーズでは全5試合に先発出場したものの、結果は芳しくなく、18打数4安打、2打点という成績に終わった。

翌年の1952年もベストナインに選出されたが、日本シリーズでは再び期待に応えられなかった。その後も1953年には打率.303を記録し続けたが、再度の日本シリーズでは無安打に終わることが多く、チームは敗北を喫した。蔭山は球を良く見る選手で、四球を多く選ぶことで出塁率の面でも高評価を得ていた。さらに、1951年から1953年までの3年間連続で30盗塁以上の記録を達成するなど、チームに欠かせない存在となった。

引退とその後

1958年までレギュラーとして活躍を続けた蔭山だったが、故障が増えた結果、1959年には森下整鎮などにレギュラーの座を譲ることとなり、この年限りで現役を引退した。その後はヘッドコーチとしてチームに貢献し、南海の監督を務めた鶴岡一人のサポート役を果たしていた。1962年には途中休養していた鶴岡の代わりに監督代行を務めるなど、その知識と経験を生かしてチームを指導した。

蔭山はその理論家としての知識が評価され、他球団からもスカウトされるほどだったが、南海の監督に就任するという道を選んだ。しかし、1965年11月13日に監督に就任した直後、急性副腎皮質機能不全で急死する運命にあった。享年38という若さでの突然の死は、当時の野球界に大きな衝撃を与え、彼の志を遂げられなかったことに対する無念が残る結果となった。彼の死去により、鶴岡は勇退を撤回し、1968年まで指揮を執ることとなる。

蔭山和夫は日本のプロ野球界にその名を刻んだ選手として、その功績は決して色あせることなく、後の選手たちに影響を与え続ける存在である。

もう一度検索