蔵王山神社

蔵王山神社について

蔵王山神社は、山形県山形市上宝沢、蔵王連峰の主峰である熊野岳山頂（標高1,841m）に位置する神社です。祭神は須佐之男命で、山形市蔵王温泉を見下ろす瀧山、蔵王温泉内にある酢川神社（酢川温泉神社）と共に三社一宮を構成しています。

歴史

680年、奥羽山脈の宮城県側の不忘山に「権現社」が建立されたのが、蔵王修験の始まりとされています。690年には、役小角が吉野の金峯山寺から金剛蔵王大権現を勧請し、宮城県側の刈田岳山頂に祀りました。これが「蔵王大権現社」であり、後の刈田嶺神社（奥宮）および刈田嶺神社（里宮）へと繋がります。この頃から、当地の奥羽山脈は修験道の修行の場として「蔵王山」と呼ばれるようになりました。

山形県側では、708年に当社（蔵王山神社）の前身である「熊野神社」が熊野岳に建立されました。熊野修験の信者からは、吉野・大峰山に対して「東のお山」と呼ばれていました。熊野神社には、後に熊野権現と白山権現も勧請されています。

712年には、山形市下宝沢に「三乗院」が作られ、山岳修験の拠点となりました。承和年間中（834年～847年）には、酢川神社が作られ、851年には慈覚大師が「瀧山」を開山しました。これにより、当社は瀧山（本宮）、酢川神社（口ノ宮）、熊野神社（離宮）の三社一宮となりました。この三社一宮は、熊野信仰の特徴です。その後、瀧山の周辺には多くの宿坊が立ち並び、蔵王修験の中心として発展しました。

1952年（昭和27年）に、熊野神社から現在の蔵王山神社へと改名されました。

瀧山に関しては、蔵王権現と切り離し「瀧山信仰」であったとする説もあります。しかし現在でも、瀧山の例大祭は蔵王山神社と、瀧山閉山後に遷座した瀧山神社が合同で行っています。また、毎年の山開きには、蔵王山神社の氏子と刈田嶺神社の氏子が刈田峠駐車場に集まり、共に山の安全を祈願しています。

社殿

蔵王山神社の社殿は、木製の鳥居とトタン葺きの簡素なお宮で構成されており、お宮の周りは石垣で囲まれています。

補足情報

現在の山形県庁所在地である山形市は、かつて蔵王連峰の麓にあったため「山方」と呼ばれていました。さらに「山方」は「下山方」と「上山方」に分けられ、後に「下山方」が山形、「上山方」が上山となりました。

三社一宮を構成する神社の一つである瀧山は、閉山されて久しく、蔵王山神社は山頂にあるため、現在は酢川温泉神社が三社の管理を行っています。瀧山山頂にも小さな神社が存在します。瀧山は、北条時頼の不興を買い閉山を命じられたとされています。

その後、瀧山は山麓に移転し、もともと瀧山の1坊であった岩波の天台宗新福山石行寺（本尊：十一面観音菩薩）、そこから分かれた天台宗医王山瀧山寺、瀧山神社（祭神：木花咲耶姫）として現存しています。瀧山寺境内には、巨大な蔵王山板碑があります。山形市内には、瀧山を遥拝する石鳥居がいくつか残っており、往時の繁栄を偲ぶことができます。

蔵王修験の拠点となった下宝沢には、今でも個人宅（かつての「三乗院」の末裔）に「木造蔵王権現立像」が現存しています。毎年8月3日には、山形花笠祭りの前夜祭に合わせて、この木造蔵王権現立像が蔵王温泉の酢川温泉神社に遷座され、蔵王温泉では「蔵王温泉夏祭り」が開催されます。

蔵王エコーラインを宮城側に少し下った場所には、「賽の河原」と呼ばれる場所があり、そこには単立寺院である「金峰山蔵王寺（延命地蔵尊）」があります。この寺院は、役小角によって創建されたとされていますが、実際には神仏分離によって刈田嶺神社から切り離された寺院を、1953年に賽の河原に復興したものです。遠刈田温泉内には、蔵王寺の別院が設けられています。

関連項目

蔵王連峰
熊野神社
御釜
刈田嶺神社

周辺

蔵王温泉
遠刈田温泉
* 蔵王ハイライン

もう一度検索