蕃松院

蕃松院（ばんしょういん）

蕃松院は、長野県佐久市にある曹洞宗の寺院です。大梁山という山号を持ち、本尊として釈迦牟尼仏を祀っています。

概要

蕃松院の創建時期ははっきりとは分かっていませんが、永禄3年（1560年）には武田信玄から60貫500文の寄進を受けていた記録が残っています。当初は天台宗の明法寺という寺院でしたが、天正壬午の乱で戦死した依田信蕃の菩提を弔うため、天正12年（1584年）にその長男である依田康国が、自身の居館跡地に明法寺を移し、上野国（現在の群馬県）の宝積寺から儀山元孝という僧侶を招いて中興開山とし、曹洞宗に改宗しました。そして、寺の名前を父である信蕃の法号にちなんで蕃松院と改称しました。

境内は高い石垣と塀で囲まれており、その荘厳な雰囲気が特徴です。江戸時代には、田野口藩の庇護を受け、天明6年（1786年）からは藩主の位牌所となりました。

寺の裏山には、依田信蕃夫妻の墓と伝えられる五輪塔があります。本堂の欄間には、近江八景を題材とした精巧な彫り物が施されており、寺宝として田野口藩主であった大給恒の自伝の軸が所蔵されています。

寛政2年（1780年）には落雷によって焼失しましたが、弘化3年（1864年）に本堂が再建されました。この際には、当時の藩主であった松平乗利が30両を寄進しています。明治維新後、藩主が東京へ移る際、龍岡城の庭にあった松を参道の入口に移植したと伝えられています。

境内には、本堂のほか、山門、仁王門、鐘楼堂、庫裡、土蔵などが建ち並んでいます。

参考文献

『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 禅宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

* 蕃松院 佐久市

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