蕭近高

蕭近高（しょう きんこう）：明代の官僚、不屈の精神

蕭近高（1555年 - 1630年）は、字を抑之、号を九生と称し、明代後期の官僚として活躍しました。彼の生涯は、権力に屈せず、民衆のために尽力した不屈の精神を示すものと言えるでしょう。

官僚としての始まりと鉱税反対

1595年、蕭近高は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。中書舎人から礼科給事中に抜擢されると、彼はすぐにその才能を発揮します。まず、鉱税の廃止、囚人の釈放、そして追放された人士の起用という三つの重要事項について上疏しました。これは当時の万暦帝の政策に真っ向から反するものであり、当然ながら皇帝の怒りを買いました。その結果、蕭近高は1年間の俸給停止処分を受けます。しかし、彼はここで諦めることなく、江西税使の潘相が勝手に一族の罪を処罰したことを非難し、不正を正そうとしました。しかし、この訴えも万暦帝には受け入れられませんでした。

その後、鉱税の停止と分税の詔が下されたものの、潘相は利権を失うことを恐れ、景徳鎮に移駐し、官窯の管理を独占しようとしました。これに対して蕭近高は再び上疏し、潘相の不正を訴えました。江西の巡撫と巡按も潘相を弾劾したことで、潘相は蕭近高が背後にいると疑い、彼をそしる上疏を提出しました。しかし、蕭近高もまた反論し、潘相を弾劾し続けた結果、潘相は最終的に官を辞任することになりました。

民衆のための戦い

蕭近高はその後も様々な役職を歴任し、刑科都給事中となりました。咸寧知県の満朝薦や諸生の王大義らが地方に派遣された宦官に逆らって3年間も獄に囚われている状況を憂い、彼らの釈放を訴えますが、聞き入れられませんでした。遼東税使の高淮が民衆反乱を激化させた際には、その罪を弾劾し、召還を求めましたが、これも万暦帝には聞き入れられませんでした。さらに、高淮の誣告により同知の王邦才と参将の李獲陽が逮捕された際には、彼らを救うために弁護しました。多くの廷臣が高淮を弾劾した結果、万暦帝はやむをえず高淮を召還しましたが、王邦才らは依然として獄に繋がれたままでした。これらの出来事を通して、蕭近高は皇帝の耳目が覆われている現状を嘆き、進言が聞き入れられない状況を訴えました。

地方官としての活躍と晩年

蕭近高は、中央での進言が聞き入れられない状況に失望し、自ら地方官の任官を望みました。浙江右参政として任用された後、按察使に進みました。病を理由に一時帰郷しますが、その後、浙江左布政使として復帰しました。

1620年、蕭近高は北京に召還され、太僕寺卿に任じられました。紅丸の案の事後処理について朝廷で議論されると、彼は崔文昇と李可灼を斬刑とし、方従哲を郷里に送還するように主張しました。その後、工部左侍郎と右侍郎を歴任しましたが、1622年には病を理由に官を去りました。しかし、御史の黄尊素が蕭近高をはじめとする官界を去った人士を称賛したため、天啓帝は彼らの召還を許しました。1625年、蕭近高は南京兵部に起用され、左侍郎の官に充てられましたが、固辞しました。しかし、辞退は許されませんでした。この時期には、魏忠賢ら閹党の勢力が伸長し、東林党をはじめとする士大夫の勢力が排斥されていたため、蕭近高は出仕を望まず、官への復帰を先延ばしにしていました。給事中の薛国観が蕭近高の命令無視を弾劾したため、彼は職を剥奪されます。その後、崇禎初年に官に復帰しました。1630年、蕭近高は自宅で亡くなりました。享年76歳でした。

蕭近高は、その生涯を通して、権力に屈せず、不正を正し、民衆のために尽力しました。彼の不屈の精神は、後世の官僚たちの模範となったと言えるでしょう。

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