蕭長懋

蕭長懋（しょう ちょうぼう）

蕭長懋（458年 - 493年）は、南朝斉の皇太子であり、文恵太子と諡されました。武帝蕭賾の長男として、その生涯は政治と文化に彩られています。

生涯

蕭長懋は、蕭賾と裴恵昭の間に生まれました。幼い頃から容姿が美しく、祖父である蕭道成に溺愛されました。476年には父に従って郢州に下り、477年には沈攸之討伐に従軍し、将帥たちの応接役を務めました。その後、秘書郎に任じられましたが、辞退しています。輔国将軍の号を受け、晋熙王撫軍主簿に転じました。478年、沈攸之の乱が鎮圧されると、蕭賾の命で建康に戻り、蕭道成の命により東斎に府を置き、文武の賓客と交流しました。建康の城中の軍は、彼の節度を受けることとなりました。秘書丞に任じられましたが、曾祖父の名を避けて就任せず、中書郎に任じられました。その後、黄門侍郎への転任を辞退しています。

479年、蕭道成が禅譲を受ける準備を始めると、蕭賾が建康に帰還しました。しかし、襄陽の重要性から、長懋は持節・都督雍梁二州郢州之竟陵司州之隨郡諸軍事・左中郎将・寧蛮校尉・雍州刺史に任じられ、襄陽へ赴任しました。同年、蕭道成が帝位につくと、長懋は南郡王に封じられました。これは南朝において、嫡皇孫が王に封じられる初の事例となりました。また、征虜将軍の号も受けています。かつて梁州刺史の范柏年が功績を挙げましたが、王玄邈が後任として派遣されると、范柏年は漢中に拠って命令を受けませんでした。長懋は范柏年を説得し、襄陽に出頭させた上で処刑し、事態を収拾しました。480年には建康に召還され、侍中・中軍将軍に任じられ、石頭に駐屯しました。母の裴恵昭が亡くなると、喪に服し、哀しみのあまり病にかかり、石頭山から西州に移されました。482年、使持節・都督南徐兗二州諸軍事・征北将軍・南徐州刺史に任じられました。

武帝（蕭賾）が即位すると、長懋は皇太子に立てられました。485年には崇正殿で『孝経』を講義し、その内容を基に『孝経義疏』が編纂されました。487年冬には自ら国学で学生たちを試問するなど、皇太子としては異例の行動を取りました。また、竟陵王蕭子良と共に仏教を好み、六疾館を設立して貧しい人々を救済しました。

493年1月25日、病のため36歳で亡くなりました。文恵と諡され、崇安陵に葬られました。後に蕭昭業が即位すると、文帝と追尊され、廟号は世宗とされました。

子女

蕭昭業（鬱林王、廃帝）
蕭昭文（海陵王、廃帝）
蕭昭秀（巴陵王）
蕭昭粲（桂陽王）

伝記資料

『南斉書』巻21 列伝第2
『南史』巻44 列伝第34

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