薄暮競走

薄暮競走：夕暮れを彩る公営競技の開催形式

薄暮競走とは、最終レースを夕方の時間帯に行うことで知られる、公営競技の開催方法です。薄暮レースと呼ばれることもあります。従来、公営競技は日没後の開催が法令で制限されていましたが、夏場の遅い日没時刻に着目し、開催時間を最大限に活用する試みとして誕生しました。特に平日の開催が多い公営競技においては、会社帰りの時間帯に開催することで、新たな顧客層の開拓にも繋がることが期待されました。

薄暮競走の始まりと発展

日本における最初の薄暮競走は、1983年7月23日、下関競艇場で行われました。11時台に開始されていた最初のレースを14時台に、最終レースも16時台から18時30分過ぎにずらすことで、4日間の売上高と入場者数が目標を大きく上回り、大きな成功を収めました。この成功をきっかけに、他の公営競技場でも薄暮競走が導入されるようになりました。

薄暮競走は、後のナイター競走開催の重要なステップとなりました。現在、ナイター競走は法令改正により可能となっていますが、照明設備のない競技場では、日没時刻までの開催が行政指導として指示されているのが現状です。冬の早い日没時間帯にナイター競走を行う場合も、広義の薄暮競走として扱われることもあります。

薄暮競走、およびナイター競走は、電話投票の利用においては、対応していない金融機関が存在することに注意が必要です。

薄暮競走が夏期に多い理由

薄暮競走が夏期に多く開催されるのには、以下の理由が挙げられます。

気候: 日中の暑さや湿度が和らぎ、過ごしやすい時間帯となるため（特に北海道、東北地方、北陸地方など）。
日照時間: 夕方でも十分な明るさが確保できるため（近畿地方以西の地域など）。

各公営競技における薄暮競走の実施例

薄暮競走は、中央競馬、地方競馬、競輪、競艇、オートレースなど、様々な公営競技で実施されています。ここでは、それぞれの競技における歴史や実施状況について、代表的な例を挙げ、その歴史的背景や現状を説明します。

中央競馬では、2004年のJRA創立50周年を記念したキャンペーンの一環として、函館・札幌競馬場にて初めて薄暮競走が実施されました。その後、他の競馬場にも拡大し、近年では暑さ対策として、夏季開催において最終レースの発走時刻を18時30分などに設定する例も見られます。

地方競馬では、各競馬場によって実施時期や時間帯が異なります。盛岡競馬場や浦和競馬場など、ナイター照明設備を整備した競馬場では、通年で薄暮競走を実施するところもあります。また、帯広競馬場のように、冬季にも薄暮競走を行う競馬場もあります。

競輪は、2024年現在では薄暮競走は実施されていません。開催はデイ開催（最終レース16時台）とナイター開催（最終レース20時台）のどちらかに統一されています。

競艇とオートレースにおいても、かつては多くの競艇場やオートレース場で薄暮競走が行われていましたが、現在では多くの競技場がナイター開催に移行しています。現在でも、一部の競艇場やオートレース場で、夏季などに期間限定で薄暮競走を実施している場合があります。

まとめ

薄暮競走は、公営競技の開催時間拡大と顧客層拡大に貢献した重要な開催形式です。その歴史と現状、そして各競技における特徴を理解することで、公営競技への理解がより深まるでしょう。将来的には、気候変動や社会情勢の変化に合わせて、薄暮競走の開催方法や実施時期がさらに進化していく可能性があります。

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