薔薇物語

『薔薇物語』（Le Roman de la Rose）は、中世13世紀のフランスで生まれた寓意的な物語です。

概要

物語は二部構成となっており、1230年頃にギヨーム・ド・ロリスによって書かれた4,058行からなる本編と、1270年頃にジャン・ド・マンによって書かれた1万7,722行からなる続編が存在します。異教的な要素を含みながらも、様々な知識や教養を盛り込んだ百科全書的な恋愛作法の書として、写[[本]]によって広く伝えられ、中世社会に大きな影響を与えました。

構成

本編：
詩人が夢の中で薔薇に恋をする物語が展開されます。儀礼、歓待、理性、純潔、危険、恐怖、嫉妬などが擬人化されて登場し、宮廷恋愛や騎士道恋愛の伝統的な作法に沿った内容となっています。愛の庭園を訪れた詩人が、愛の神の放った矢に射られ、薔薇に恋をします。しかし、番人たちが邪魔をするため、詩人は困難を乗り越えようとします。最終的に詩人が薔薇に口づけをすると、薔薇は閉じ込められてしまい、詩人は嘆き悲しむという結末を迎えます。

続編：
本編の続きという形式を取っていますが、騎士道の恋愛観に批判的な内容を含んでおり、思想的には本編とは大きく異なっています。愛についての長い議論が展開された後、愛の神の軍が薔薇の城を攻撃し、最終的に占領するという物語が描かれています。

日本語訳

薔薇物語（見目誠訳、未知谷、1995年）
薔薇物語（篠田勝英訳、平凡社、1996年／ちくま文庫（上下）、2007年）
中世英語版 薔薇物語（瀬谷幸男訳、南雲堂フェニックス、2001年）。ジェフリー・チョーサー英訳版より。

関連文献

フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論Ⅱ』（渡邉浩司・渡邉裕美子訳）中央大学出版部 2021年、ISBN 978-4-8057-5183-1、33-51頁（第2章　『薔薇物語』におけるアボンド夫人と亡霊）

関連項目

クリスティーヌ・ド・ピザン：中世のヴェネツィア出身の女性詩人、文学者であり、主にフランスのパリ宮廷で活動しました。反フェミニスト的な論調を取る『薔薇物語』に対抗し、『薔薇のことば』を著して女性擁護を訴えました。
クレマン・マロ：ルネサンス期のフランスの詩人であり、『薔薇物語』の最初の近代フランス語訳を手掛けました。
艱難汝を玉にす

外部リンク

丸善雄松堂株式会社のサイトにある中世写[[本]]の紹介 - オックスフォード大学図書館蔵「薔薇物語」ボドリアン写[[本]] - ウェイバックマシン（2018年12月5日アーカイブ分）
* 『薔薇物語』フランスを読む＃42 - 篠田勝英・白百合女子大学名誉教授 - YouTube

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