藤七温泉

藤七温泉（とうしちおんせん）

岩手県八幡平市の山中に湧く藤七温泉は、十和田八幡平国立公園の広大な自然の中にあり、標高約1400メートルという、東北地方の温泉地としては類を見ないほどの高所に位置する秘湯です。八幡平の山頂エリアからもほど近く、登山やトレッキングの拠点としても利用されます。

泉質

泉質は単純硫黄泉です。湯は白濁しており、これは湯に含まれる硫黄成分が結晶化した「湯の花」によるものです。浴槽の底には泥状の沈殿物があり、これを体に塗布して楽しむ独特の入浴法も体験できます。硫黄の香りが立ち込める、いかにも効能がありそうな温泉です。

温泉地と施設

藤七温泉にあるのは、一軒宿の「彩雲荘」のみです。宿には男女別の内湯と露天風呂のほか、開放感あふれる6つの混浴露天風呂が点在しています。混浴露天風呂はそれぞれが離れた場所に配されており、移動時にバスタオルなどを利用すれば、女性の方でも比較的気兼ねなく混浴の雰囲気を味わうことができます。全ての浴槽で贅沢に源泉が掛け流されており、常に新鮮な温泉を堪能できます。日帰りでの利用も可能ですが、宿泊すれば24時間いつでも好きな時にこの秘湯を楽しむことができます。

環境と特徴

山奥という環境のため、携帯電話の電波はロビーなど限られた場所でしか繋がりにくいという側面もあります。また、温泉成分に含まれる硫化水素の影響で電気製品が傷みやすいため、取り扱いには注意が必要です。源泉の熱を利用して作られる温泉卵は、その作用で殻が黒く変色するという、温泉地ならではの特徴が見られます。
アクセス道路である樹海ラインが冬季期間（概ね11月初旬から4月下旬頃まで）は閉鎖されるため、この期間は休業となります。

歴史

温泉の発見については、藤七という名の木こりが最初に見つけたと伝えられており、温泉名もその人物に由来すると言われています。ただし、坂上田村麻呂による発見とする異説も存在しており、古くから人々に知られていた可能性も示唆されます。近代においては、1959年（昭和34年）9月3日に、藤七温泉を含む八幡平温泉郷が国民保養温泉地として指定され、その価値が認められました。

アクセス

車でのアクセスは、東北自動車道西根インターチェンジからおよそ1時間程度です。公共交通機関としては、JR盛岡駅から宿が運行する無料送迎バスが利用可能です（要事前確認）。

周辺温泉

周辺には、同じ八幡平温泉郷内の温泉地（東八幡平温泉、蒸ノ湯温泉、大深温泉、大沼温泉など）や、全国的にも有名な玉川温泉、後生掛温泉といった個性豊かな温泉地が点在しており、湯巡りを楽しむこともできます。

出典

本記事は、公開されている情報に基づいて作成されています。

外部リンク

藤七温泉 彩雲荘

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