藤井千尋

藤井千尋：激動の時代を駆け抜けた志士、官僚、そして神職

藤井千尋（ふじい ちひろ、1837年 - 1900年）は、幕末から明治にかけて激動の時代を生きた人物です。尊王攘夷の志士として活動し、明治維新後は官僚として地方行政に携わり、晩年は神職として地域に貢献しました。彼の生涯は、日本の近代化の過程における多様な生き方を示しています。

生い立ちと尊王の志

藤井千尋は、天保8年（1837年）に上野国群馬郡（現在の群馬県高崎市）で生まれました。幼名は弘助といいましたが、明治3年（1870年）に千尋と改名しました。貧困のため、幼い頃から父と共に江戸に出て商家の手代として働きました。20歳頃に幕府御馬所見習いとなり、馬術などを学ぶ中で尊王攘夷の思想に傾倒していきます。幕府の探索を逃れるため、「群馬隼人」と名乗りを変え、各地で尊王攘夷を説いて回りました。

明治維新後の活躍

明治維新後、藤井千尋は明治政府に出仕し、明治2年（1869年）に徴士弾正台大巡察に任官されました。その後、監督司出仕、地方巡察、堺県大参事、同県権参事、同参事などを歴任し、地方行政に手腕を発揮しました。明治6年（1873年）には、奈良県権令に就任し、県政を担当しました。明治8年（1875年）には五等判事を兼務するなど、司法分野でも活躍しました。しかし、明治9年（1876年）に奈良県が堺県に統合されたため、官職を離れることとなりました。

大阪府での郡長、そして生國魂神社の宮司へ

官職を離れた後、藤井千尋は明治15年（1882年）から翌年にかけて、大阪府豊島・能勢郡長を務めました。そして、明治19年（1886年）には、大阪府の生國魂神社の宮司に就任し、神職として地域に貢献しました。明治33年（1900年）3月15日に生涯を閉じました。

まとめ

藤井千尋は、幕末の尊王攘夷運動から明治期の地方行政、そして神職へと、多様な分野で活躍した人物です。彼の生涯は、激動の時代において、それぞれの立場で日本の近代化に貢献した人々の姿を象徴しています。

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『群馬県人名大事典』上毛新聞社、1982年。
* 内閣「藤井千尋生国魂神社宮司ニ被任ノ件」明治19年。国立公文書館

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