藤原仲平

藤原仲平の生涯と業績

藤原仲平（ふじわら の なかひら）は、平安時代前期から中期にかけて活躍した公卿であり、歌人でもあります。彼は藤原北家に生まれ、摂政・関白を務めた藤原基経の二男として知られています。仲平はその官位においても正二位・左大臣に就き、また、その居所から「枇杷左大臣」と呼ばれることもあります。

生い立ちと成長

仲平は兄の時平と共に、人康親王の娘を母として生まれました。彼は、兄と同じく殿上童を務めた後、寛平2年（890年）に宇多天皇により元服し、宸筆による正五位下の位記を受け取ることになります。この年、彼は右衛門佐に任ぜられ、その後、近衛少将や中将といった武官を務めることになります。

また、中宮大夫として皇太夫人藤原温子にも仕える中で、寛平6年（894年）には従四位下へと昇叙されます。その後も、仲平は公務に励む一方で、家族や弟・忠平との関係においても様々な出来事を経験します。特に忠平が21歳で参議に任命された際には、仲平はその後塵を拝する形となりました。

官歴と昇進

昌泰3年（900年）には従四位下に昇進しますが、忠平が参議に復職した際、彼も昌泰4年（901年）に従四位上として昇進します。その後、延喜7年（907年）には正四位下に至ったものの、忠平に追いつくことはできませんでした。このように、仲平は弟に比べて官位でやや遅れを取ることになります。

延喜17年（917年）に従三位・中納言となった仲平は、延長4年（926年）に正三位、延長5年（927年）には大納言に昇進します。そして承平3年（933年）には右大臣に任命され、20年の歳月を経てついに大臣の地位に就くことができました。彼の政治的活動は、醍醐天皇からの勅命を受けて大宰府で社殿を造営したことや、公任の職を多く歴任したことでも知られています。

人柄と文化的影響

藤原仲平は、心温まる性格を持つ人物として伝えられていますが、公位に就くことに関しては弟の忠平に劣ることに不満を抱いていたとされています。これが原因で、公事をおろそかにすることもあったと言われています。また、仲平は優れた歌人でもあり、『古今和歌集』には若い頃に1首、勅撰和歌集には11首が収められるなど、その才能は広く認められていました。

加えて、彼の恋愛遍歴も興味深いもので、姉の藤原温子の女官である伊勢との恋愛が知られています。仲平は延喜11年（911年）に宇多上皇主催の酒合戦に参加し、その豪快な飲みっぷりから殿上で嘔吐する失態を演じたことでも有名です。彼の邸宅「枇杷殿」は、祖父の時代から引き継がれ、名邸宅として名を馳せ、仲平の死後もその名は語り継がれました。

最後の年月と評価

天慶6年（943年）には正二位に昇進しますが、翌年には出家し、同月内に薨御しました。仲平の生涯は、平安時代の公卿として、また歌人としての業績を通じて、多くの人々に影響を与えました。彼の歌や文化的な足跡は、後の時代にも大きな影響を及ぼし、今日でも平安時代を代表する人物の一人として評価されています。

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