藤原全子

藤原全子の生涯

藤原全子（ふじわらの ぜんしまたこ、1060年 - 1150年）は、平安時代中期に生きた貴族女性で、政治的かつ文化的な影響を与えた人物です。彼女は右大臣藤原俊家の娘であり、関白藤原師通の前妻、さらに藤原忠実の母として知られています。全子の家族には、兄の藤原宗俊や弟の藤原宗通がいました。

結婚と離婚

全子は承保3年（1076年）に藤原師通と結婚しました。当時の師通は正三位右近中将であり、彼の祖父藤原頼通は、全子の父俊家の異母兄にあたります。そのため、全子と師通ははとこ同士の結婚となります。夫婦の間には、承暦2年（1078年）11月に生まれた長男藤原忠実がいますが、全子はその後、師通と離縁することになります。

師通は結婚の後、藤原信子と再婚し、全子は寛治6年（1092年）から母親とともに一条殿に移り住むことになります。この離婚に全子は深い恨みを抱き、亡父俊家の肖像画を描かせ、怨念が報われることを願いました。すると夢に現れた父俊家は、全子の願いを聞き入れると告げたと伝えられています。

地位の変遷

師通は康和元年（1099年）に亡くなりますが、その後妻信子は零落し、全子は一族や公卿から、一族のリーダーの母として尊重されるようになりました。彼女は永久4年（1116年）からは、前年に亡くなった師通の母源麗子に代わり、親族から正月の拝礼を受ける地位を得ます。

天永3年（1112年）には摂政の母として従三位に昇進し、さらに永久3年（1115年）には従一位に叙位されるなど、藤原家での地位をさらに高めました。弟の宗通の娘である宗子は、全子の長男忠実の正妻となることからも、その政治的影響力は続きました。

晩年と影響

晩年には准三宮という地位にまで昇進し、久安6年（1150年）1月22日にはその称号が確認されています。全子は、91歳で自身の生涯を閉じることになりました。

全子の生涯は、平安時代の藤原家における女性の重要性と影響力を象徴するものであり、彼女の存在は文化的な遺産や歴史的な関係の中で、今なお語り継がれています。彼女の物語は、家族や血筋だけでなく、当時の政治や社会に与えた影響を考える際に欠かせないものとなるでしょう。彼女をめぐる人々や出来事は、平安時代の貴族社会の色合いを深く理解する手がかりとなります。

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