藤原定

藤原定（ふじわら さだむ）

藤原定は、1905年7月17日に福井県敦賀市で生まれ、1990年9月17日に没した、日本の詩人、評論家、翻訳家です。

略歴

法政大学文学部哲学科で三木清や谷川徹三に師事し、大学時代から「生活者」に小説や詩を投稿していました。1936年には草野心平に誘われ、詩誌『歴程』の同人となります。その後、南満州鉄道調査部に勤務し、評論を発表しました。

1944年には第一詩集『天地の間』を刊行し、戦後は法政大学教授に就任。1957年には山室静らと詩雑誌『花粉』を発行します。1964年には山梨県北巨摩郡大泉村西井出（現在の北杜市大泉町西井出）に山荘を構え、夏季は同地で詩作に励みました。この山荘の所在地に近い小海線の甲斐大泉駅周辺は、彼の創作活動に大きな影響を与えたと考えられます。小海線自体も、藤原の詩に度々登場するモチーフとなりました。

1979年には第五詩集『環』を刊行。『環』には、八ヶ岳山麓を題材とした「甲斐駒のうしろから」などの詩が収録されています。1980年に『環』で日本詩人クラブ賞を受賞。1990年には『言葉』で現代詩人賞を受賞しました。評論や詩集の他、ドイツ文学の翻訳も手掛けています。

また、1957年度のNHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲『白き雲ゆく』の作詞者としても知られています（作曲：橋本喬雄、編曲：島岡譲）。

著書

『文学における人間の生成』（文学社） 1937
『近代支那思想』（中央公論社、東亜新書） 1941
『現代作家の人間探究』（図書研究社） 1942
『天地の間』（八雲書林） 1944
『現代人の形成』（文化書院） 1948
『恋愛論 情熱の人間学』（福村書店） 1949
『ゲーテと世界精神』（日本教文社、ユネスコ叢書） 1950
『萩原朔太郎』（角川新書） 1951
『愛と友情 少年少女のために』（福村書店） 1952
『にくしみより愛へ 少年少女のために』（福村書店） 1953
『中学生のための私たちの生き方』（宝文館） 1954
『距離 詩集』（ユリイカ） 1954
『愛の詩集』（編著、三笠新書） 1955
『若き友へ』（河出新書） 1956
『友情と恋愛』（宝文館） 1958
『北陸路』（編、宝文館、日本の風土記） 1959
『日本近代詩 解釈・鑑賞・詩人論』第1 - 2（弥生書房） 1962
『僕はいる僕はいない 詩集』（昭森社） 1964
『愛のパンセ 新しい愛の見方考え方』（三笠書房） 1965
『詩の宇宙 重吉・暮鳥・元吉・賢治』（皆美社） 1972
『幻視者萩原朔太郎』（麦書房） 1977
『環 詩集』（弥生書房） 1979
『藤原定詩集』（土曜美術社、日本現代詩文庫） 1985
『言葉 詩集』（沖積舎） 1989
『藤原定全詩集』（沖積舎） 1992

翻訳

『ヘルマンとドロテーア』（ゲーテ、角川文庫） 1951
『愛と死の歌』（リルケ、角川文庫） 1956
『グリム伝説集』1 - 3（グリム兄弟、山室静、植田敏郎共訳、実業之日本社） 1959 - 1960
『愛のかなしみ』（ヘッセ、国土社、ジュニア版世界の名作） 1965
『カロッサ詩集』（カロッサ、弥生書房、世界の詩） 1965
『世界青春詩集』（三笠書房、世界の名詩集） 1967
『シュトルム詩集』（シュトルム、角川書店、世界の詩集5） 1967 のち文庫
* 『李太白詩集』（李太白、角川書店、中国の詩集4） 1973

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