藤原済時

藤原済時（ふじわら の なりとき）

藤原済時は、平安時代中期に活躍した公卿で、941年に生まれ995年に亡くなりました。彼は左大臣・藤原師尹の次男であり、正二位・大納言などの官位を持ちました。彼の官歴は実に豊かで、数々の役職を歴任しながら、平安時代の政治に深く関与していました。

経歴の概要

済時は958年に従五位下に叙爵され、翌年には侍従に任命されました。その後も昇進を続け、967年には蔵人頭に任命されますが、翌年の村上天皇の崩御により辞任したものの、冷泉天皇の即位に伴って再び蔵人頭に任じられました。さらに、969年には安和の変で父の師尹が左大臣に就任したことから、済時も右近衛中将に昇進しました。

円融天皇の即位後、済時は春宮権亮としての功績により、従三位に叙せられ、公卿の仲間入りを果たします。970年には参議として議政に関与し、975年には権中納言、983年には権大納言にまで昇進しました。991年には正二位まで昇りつめたものの、995年に疱瘡により亡くなりました。享年55歳という短い生涯でしたが、彼の生前の功績は留まることなく、彼の娘が後に三条天皇の皇后となったことから右大臣に贈られました。

人物像と逸話

藤原済時は、その生涯において様々な逸話を持つ人物としても知られています。彼は、全体的に虚栄心が強く、気難しい性格であったと評されています。例えば、村上天皇が妹に箏を教えるのを聴いて、自分がその達人になったかのように思い込むことがありました。周囲からそのように評されることもあったものの、実際には演奏を出し惜しみし、批判を浴びたエピソードも伝わっています。また、彼は自分への進物を庭に並べて来客に見せびらかすなど、虚栄心が強い行動が際立っていました。

一方で、彼は有職故実に通じており、その後に故実の大家となる藤原実資は、済時を「可堪任者」と評価し、しばしばその教えを乞うていたことが記されています。このように彼は、人間としての側面とともに、政治家としての誠実さを持ち合わせていました。

彼の死後、長和元年（1012年）には、娘の振り返りを通じて再評価される場面もあり、彼自身が持っていた虚栄心とは裏腹に、後世にはその能力が高く評価されたのです。

官歴の詳細

済時の官歴は非常に詳細に記録されており、『公卿補任』などの史料に基づいて多くの職を重ねました。彼の経歴は、958年に従五位下に始まり、995年には正二位に達するまでの数多くの昇進を示しています。

家族

藤原済時は、数人の妻を持ち、多くの子どもをもうけました。長女の藤原娍子は三条天皇の皇后となり、彼の家族も平安時代の政治に影響を与えました。彼の生涯は平安時代中期の公卿たちの中でも特に目を引くものであり、文学や歴史への影響も与えたことで知られています。

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