伊賀光季

伊賀光季（いが みつすえ）

伊賀光季は、鎌倉時代前期に活躍した御家人であり、鎌倉幕府の京都守護を務めた人物です。伊賀朝光の長男として生まれ、母は二階堂行政の娘でした。

北条氏との関係

光季の姉妹である伊賀の方が、鎌倉幕府2代執権・北条義時の継室となったことが、彼の運命を大きく左右しました。この姻戚関係を通じて、光季は北条氏の外戚として幕府内で重要な地位を占めることになります。

幕府での活動

建暦2年（1212年）には、常陸国内に地頭職を与えられ、政治的な基盤を確立しました。その後、建保3年（1215年）には左衛門尉、検非違使に任じられ、幕府の中枢で活躍しました。建保7年（1219年）2月には、大江親広と共に京都守護として上洛し、朝廷との交渉や京都の治安維持に尽力しました。

承久の乱での活躍と最期

承久3年（1221年）5月15日、後鳥羽上皇が鎌倉幕府打倒の兵を挙げます（承久の乱）。上皇は寵臣である藤原秀康を通じて光季を自陣に誘いますが、光季はこれに応じませんでした。「職は警衛にあり、事あれば聞知すべし、未だ詔命を聴かず、今にして召す、臣惑わざるを得ず」と答え、上皇の再度の勅命にも「命を承けて敵に赴くは臣の分なれども、官闕に入るは臣の知る処にあらず」と言って拒否しました。

このため、同日、大内惟信・三浦胤義ら800騎の官軍によって、光季が滞在していた高辻京極の宿所を襲撃されます。光季の配下の武士はわずか85騎でしたが、逃亡者が相次ぎ、最終的には光季・光綱父子と29騎のみが残りました。光季は奮戦しましたが、多勢に無勢であり、屋敷に火を放ち、光綱と共に自害して果てました。しかし、光季は事前に下人を落ち延びさせ、この変事を鎌倉に知らせることに成功しました。

死後

光季の死後、北条泰時は彼の故地を遺子である季村に与えました。これは、光季の忠義に対する幕府からの報奨であると考えられます。

関連作品

伊賀光季は、以下のテレビドラマで描かれています。

『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：宇南山宏）
『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ、演：日笠圭）

まとめ

伊賀光季は、鎌倉時代前期の激動の時代を生きた武士であり、北条氏との関係を通じて幕府内で重要な役割を果たしました。承久の乱では、後鳥羽上皇の誘いを拒否し、幕府への忠義を貫き、壮絶な最期を遂げました。彼の生涯は、鎌倉時代の政治と武士道のあり方を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

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