藤原秋緒

藤原 秋緒についての解説

藤原秋緒（ふじわら の あきお）は、平安時代の初期から前期にかけて活躍した貴族です。彼の名前は秋雄とも表記され、藤原京という名門出身の官僚でした。祖父は参議の藤原浜成、父は豊後守をつとめた藤原豊彦です。彼自身も官位を重ね、多くの地方官を歴任しました。

経歴と公職

藤原秋緒は仁寿3年（853年）に従五位下に叙爵されました。この年から彼の公職経歴が始まり、翌年の仁寿4年（854年）には備中介に任命されます。以降、彼は貞観年間において多くの官職を歴任します。

特に貞観7年（865年）から貞観9年（867年）にかけては、刑部少輔や治部少輔、兵部少輔といった京官を短期間担当することもありました。この時期の彼は立身出世の途上にあり、貞観3年（861年）には播磨権介、貞観10年（868年）には讃岐介となります。また、同じ貞観年代に因幡権守に任ぜられることがあり、元慶2年（878年）には伊予権守に到達します。

彼の出世の道は着実で、貞観10年には従五位上、元慶3年には正五位下というように、著しい昇進を果たしました。

官歴

藤原秋緒の官歴は、以下のように記されています。

• - 仁寿3年（853年）正月7日：従五位下
• - 仁寿4年（854年）正月16日：備中介
• - 貞観2年（860年）6月5日：大監物
• - 貞観3年（861年）正月13日：播磨権介
• - 貞観7年（865年）3月9日：刑部少輔、5月16日：治部少輔
• - 貞観9年（867年）2月11日：兵部少輔
• - 貞観10年（868年）正月7日：従五位上、正月16日：讃岐介
• - 時期不詳：因幡権守
• - 元慶2年（878年）正月11日：伊予権守、4月2日：次侍従
• - 元慶3年（879年）正月7日：正五位下

このように、藤原秋緒は平安中期において数多くの重要な官職に就くことによって自身の地位を確立しました。

家系情報

藤原秋緒の家系については、『尊卑分脈』の記録にもとづいています。彼の父は藤原豊彦で、母についての情報は明らかになっていません。秋緒には男子が二人（藤原世文、藤原有命）おり、女子の一人は藤原良尚の妻となります。

出典

• - 森田悌『続日本後紀 下』講談社〈講談社学術文庫〉、2010年
• - 武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録』（上下巻）戎光祥出版、2009年
• - 『尊卑分脈 第二篇』吉川弘文館、1987年

藤原秋緒は、平安時代の貴族社会において確固たる地位を築き、地方行政に寄与した人物として記憶されています。彼の生涯は、当時の貴族の典型的な生き方を示し、その昇進の過程は平安時代の官職制度を理解する上で重要な手がかりとなります。

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