藤島城 (越前国)

藤島城：新田義貞の最期と足羽七城群の一翼

福井県福井市藤島町に位置していた藤島城は、南北朝時代に存在した平城です。足羽七城の一つとして数えられ、現在はその跡が西超勝寺境内に残されています。石碑と土塁の一部が、往時の面影を僅かに伝えています。

築城と歴史的背景

正確な築城時期は不明ですが、『太平記』には、延元3年/建武5年（1338年）頃、北朝方の越前国守護・斯波高経が、南朝方の新田義貞の侵攻に対抗するために築かせたと記されています。九頭竜川左岸の沖積地に築かれたこの城は、斯波高経による足羽七城の構築計画の一環として位置づけられていたと考えられます。『越前国古城跡并館屋敷蹟』（『城跡考』）には、城主として波多野出雲守の名が挙げられています。

新田義貞と藤島の戦い

藤島城は、新田義貞の生涯における悲劇的な終焉の地として知られています。1338年、義貞は斯波高経と激しく対立。当初は北朝方に属していた平泉寺の僧兵の一部が南朝方に寝返ったことが、戦況を大きく変えました。平泉寺はその後、領地安堵の条件として北朝方に付き、藤島城に立て籠もりました。

同年閏7月2日、新田軍は藤島城を包囲（藤島の戦い）。燈明寺（『太平記』西源院本では東郷寺）に布陣していた新田義貞は、激戦を続ける自軍の様子を視察するため、僅か50騎の兵を率いて城へ急行しました。しかし、そこで小黒丸城から救援に向かっていた斯波方の細川出羽守・鹿草公相率いる300騎の軍勢と遭遇。弓兵を多数擁する斯波方の奇襲を受け、防備が手薄だった新田軍は壊滅的な打撃を受けました。義貞は馬を射られ、倒れたまま眉間に矢を受けて自害したと伝えられています。

藤島城の現状と研究

現在、藤島城跡は福井市藤島町の西超勝寺境内の一部となっています。城跡であることを示す石碑が建てられ、わずかながら土塁も確認できます。その遺構は、かつて壮絶な戦いが繰り広げられたこの場所の歴史を静かに物語っています。 多くの歴史書や研究論文が藤島城と新田義貞の最期に焦点を当てていますが、さらなる調査・研究が、この城の全貌解明に繋がるでしょう。 史料の解読や発掘調査を通して、藤島城の歴史的意義は、今後ますます明らかになっていくと考えられます。

まとめ

藤島城は、新田義貞の最期という悲劇的な歴史的出来事と深く結びついた城です。足羽七城の一つとして、越前における南北朝の動乱を象徴する存在であり、その遺構は静かに歴史を語り継いでいます。今後、更なる研究によって、この城の歴史的意義が明らかになることが期待されます。

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