足羽七城

足羽七城：南北朝時代の越前を舞台にした攻防

足羽七城は、南北朝時代(1336～1392)に福井県'>[越前国]の九頭竜川・足羽川流域に築かれた、北朝方の武将・斯波高経が築いた城塞群の総称です。時に単に足羽城とも呼ばれていました。この城塞群は、南朝方の新田義貞との激しい争いの舞台となりました。

始まり：湊川の戦いからの展開

後醍醐天皇と足利尊氏との対立から始まった南北朝時代。尊氏は湊川の戦いで勝利し、北朝を開きました。一方、後醍醐天皇は吉野へ逃れ、南朝を成立させます。新田義貞は後醍醐天皇側に属し、越前国へと下向。金ヶ崎城や杣山城を拠点に、北朝方の斯波高経と対峙しました。延元3年/建武5年（1338年）2月には、日野川の戦いで斯波勢を破り、小黒丸城へと敗走させます。

斯波高経の防衛戦略：七つの城

敗れた斯波高経は、小黒丸城を拠点に周辺に複数の城塞を築き、新田勢に対抗しました。軍記物『太平記』には、この際に高経が七つの城を築いたと記されています。この七つの城が、足羽七城と呼ばれる所以です。しかし、どの七つの城が足羽七城に含まれるのかについては、諸説あります。

足羽七城：諸説と城跡

現在、この地域には、南北朝時代当時の城跡と推定される遺跡が複数存在します。そのため、どの城を足羽七城に含めるかについては、いくつかの説が存在します。例えば、『日本城郭大系』では、『越前国古城跡并館屋敷蹟』を引用し、小黒丸城、勝虎城、藤島城、波羅蜜城、安居城、江守城、北庄城(福井城)を足羽七城としています。一方で、松原信之氏による説では、構ヶ城(高木城)を小黒丸城の代わりに挙げています。他にも、和田城や黒龍城を含める説など、様々な解釈があります。これらの相違は、史料の解釈の違いや、城跡の特定の難しさから生じていると考えられます。

激化する攻防：藤島の戦い

延元3年/建武5年（1338年）5月、新田義貞は足羽七城に対して大規模な攻撃を開始しました。しかし、閏7月2日、藤島城への督戦の際に敵軍と遭遇、燈明寺畷で戦死するという悲劇的な最期を遂げます。その後、弟の脇屋義助が指揮を執り戦闘を継続しましたが、次第に勢力が衰え、暦応4年/興国2年（1341年）までに越前全域は斯波高経の支配下に置かれることとなりました。

足羽七城のその後と歴史的意義

足羽七城は、南北朝時代の激しい抗争を象徴する遺跡群です。それぞれの城の規模や構造、役割などは現在も研究が続けられており、歴史の謎解きが進むことが期待されます。足羽七城は、単なる城塞群ではなく、当時の政治情勢や軍事戦略、地域社会の様子を知る上で貴重な史料となっています。その歴史的意義は、現在も福井県の歴史を語る上で重要な位置を占めています。史料の不足や解釈の違いなど、不明な点も残りますが、足羽七城は、南北朝時代の動乱期における越前国の歴史を理解する上で欠かせない存在と言えるでしょう。今後の研究によって、更なる詳細が明らかになることが期待されます。

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