藤崎衛

藤崎衛

1975年生まれの藤崎衛（ふじさき まもる）氏は、日本の歴史研究者であり、特に西洋中世史を専門としています。現在、東京大学大学院総合文化研究科の教授を務めています。

鹿児島県に誕生した藤崎氏は、1998年に鹿児島大学法文学部を卒業し、文学士の学位を取得しました。その後、東京大学大学院人文社会系研究科に進学し、欧米系文化研究専攻西洋史学分野で深く研究を進め、2007年に博士課程の単位を取得して課程を修了しました。さらに、2011年には東京大学から博士（文学）の学位を授与されています。

大学院での研究期間中、藤崎氏は海外の主要大学で研鑽を積みました。2003年にはスイス政府奨学生としてローザンヌ大学文学部歴史学科に留学し、アゴスティーノ・パラヴィチーニ・バリアーニ教授の指導を受けました。続いて2006年にはイタリア政府奨学生としてローマ・ラ・サピエンツァ大学文哲学部中世社会文化学科に留学し、ジュリア・バローネ教授のもとで学びました。さらに、2009年にはドイツ学術交流会奨学生としてフンボルト大学ベルリン第一哲学部歴史学研究所に客員研究員として滞在し、ミヒャエル・ボルゴルテ教授から薫陶を受けるなど、国際的な視野を広げました。

博士課程単位取得後の2007年、東京大学グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」において特任研究員として研究活動に従事しました。2012年からは東京大学文学部西洋史学研究室で助教を務め、同時に大学院人文社会科学研究科の生命科学・利用倫理研究員や西洋史講義のティーチング・アシスタントも兼任しました。2016年には茨城大学教育学部に准教授として着任し、教育に携わりました。2018年には上智大学文学部の准教授に転じ、研究教育活動を続けました。そして2021年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻の地中海・イスラム地域文化講座に准教授として戻り、2024年からは同講座の教授に昇任し、現在に至ります。専門とする西洋中世史の研究では、特に中世における教皇庁の歴史とその制度的展開に焦点を当てています。

その研究成果は学界内外で高く評価されており、2014年には地中海学会ヘレンド賞を受賞しています。

著作活動も精力的に行っており、専門書から一般向けの解説書まで幅広く手掛けています。主な著作としては、中世教皇庁に関する詳細な研究書『中世教皇庁の成立と展開』（八坂書房、2013年）や、ローマ教皇の歴史的意義を解説した『ローマ教皇は、なぜ特別な存在なのか : カノッサの屈辱』（NHK出版、2023年）があります。また、塩野七生氏、石鍋真澄氏との共著として『ヴァチカン物語』（新潮社、2011年）も出版しています。

海外の重要な研究書の翻訳にも貢献しており、ジェフリー・バラクロウ著『中世教皇史』（八坂書房、2012年）や、デイヴィド・アブラフィア著『地中海と人間 1』『地中海と人間 2』（佐藤昇氏、田瀬望氏と共訳、藤原書店、2021年）などがあります。さらに、ジェレミー・ブラック著『世界史 : 300点の写真とイラストで大図解』（ニュートンプレス、2020年）の監訳も務めるなど、最新の世界史研究の紹介にも努めています。

主な著作

『ヴァチカン物語』（塩野七生, 石鍋真澄共著、新潮社）2011年
『中世教皇庁の成立と展開』（八坂書房）2013年
『ローマ教皇は、なぜ特別な存在なのか : カノッサの屈辱』（NHK出版）2023年

主な翻訳

ジェフリー・バラクロウ著『中世教皇史』（八坂書房）2012年
デイヴィド・アブラフィア著『地中海と人間 1, 2』（佐藤昇, 田瀬望共訳、藤原書店）2021年

主な監訳

ジェレミー・ブラック著『世界史 : 300点の写真とイラストで大図解』（ニュートンプレス）2020年

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