藤木九三

藤木九三：日本の登山家とロック・クライミングのパイオニア

藤木九三（ふじき くぞう、1887年9月30日 - 1970年12月11日）は、日本の登山界で重要な役割を果たした人物であり、特にロック・クライミングの普及に貢献したことで知られています。彼はロック・クライミング・クラブ（RCC）の創設者の一人として、日々の登山活動だけでなく、書籍や会報を通じて登山技術の発展にも寄与しました。

生涯と教育

藤木は京都府福知山に生まれました。もともとは早稲田大学の英文学科に入学したものの、途中で中退し、1909年に東京毎日新聞社に就職。その後、やまと新聞を経て、1915年には朝日新聞社に転職しました。彼のジャーナリズムのキャリアもまた、登山活動と密接に関連しています。特派員として東久邇宮の槍ヶ岳登山に随行した経験は、後の登山活動に多くの影響を与えたとされています。

登山活動の開始

1919年、藤木は神戸支局長として西宮市甲子園に居住することになり、その地で六甲山の岩場を「ロック・ガーデン」と名付けました。また、甲子園球場のアルプススタンドに対して「アルプス」という名称を初めて用いたとも言われています。この地域での活動は、彼自身の登山に対する情熱をさらに深める契機となったのです。

1923年に神戸徒歩会に参加することで登山活動が積極化し、1924年には日本で初めてのロック・クライミングを目的とした山岳会、RCCを設立しました。この会は、からなるメンバーたちとともに日本におけるロック・クライミングの礎を築くこととなります。

著作と業績

彼の著書『岩登り術』は1925年に刊行され、日本初の岩登りに関する理論書とされています。この書籍の出版により、初心者から上級者まで、さまざまな登山者に対して理論的な支えを提供しました。また、同年には北穂高岳滝谷の初登攀を達成し、日本における岩登りの技術向上に大きく寄与しました。

藤木はさらに1926年に秩父宮とともにスイス・アルプスに登山に臨み、国際的な登山経験を積むことになりました。1930年代にはパリに滞在し、モンブランやマッターホルンなどの名峰に挑戦。また、1936年には石鎚山での冬季初登を成功させるなど、数々の登山記録を樹立していきました。

日本山岳会と引退後の活動

戦後の1959年には日本山岳会の顧問として登山界に貢献し、第2次RCCの創設時には仲間の要請に応じて再び関与しました。

藤木九三の影響

藤木九三の業績は、今日の日本の登山文化においても色濃く残っています。彼の著作は、今なお多くの登山者に影響を与え、登山技術の発展に寄与しています。また、RCCの設立は日本の山岳界にとって重要な拠り所となりました。彼の情熱と献身は、後世の登山家たちにとっての道標となり続けるでしょう。

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