藤浦敦

藤浦敦

藤浦敦（ふじうら あつし、1930年1月1日 - 2023年5月28日）は、日本の映画監督、プロデューサー、脚本家、そして落語作家として知られています。東京都港区赤坂に生まれ、実家は青果問屋を営んでいました。彼の家系は、先々代の藤浦周吉（三周）が初代三遊亭圓朝一門を経済的に支援した縁から、「圓朝」の名跡を預かり、「三遊派宗家」を名乗るという、落語界との深い繋がりを持っていました。

略歴

祖父は藤浦周吉（三周）、父は東京市会議員を務め、東京中央青果株式会社（現在の東京シティ青果株式会社）の初代社長であり、三遊亭圓朝に関連する著書を多数出版した藤浦富太郎でした。このような家庭環境で育った藤浦敦は、1952年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、同大学大学院国文科を中退しました。その後、読売新聞記者を経て、1954年に日活に入社し、助監督として伊藤大輔監督に師事しました。

1971年、『喜劇・いじわる大障害』で監督デビューを果たしました。日活ロマンポルノ時代には、『江戸艶笑夜話 蛸と赤貝』や『くいこみ海女 乱れ貝』など、20数本の作品を監督しました。1988年の路線転換以降はプロデューサーに転身し、『徳川の女帝 大奥』や『落陽』などを担当しました。

2023年5月28日、93歳でその生涯を閉じました。

監督作品

藤浦敦は、助監督時代から数多くの作品に携わりました。以下は、彼の監督作品の一部です。

1971.3.20 - 喜劇 いじわる大障害（日活）
1974.9.11 - 江戸艶笑夜話　蛸と赤貝（日活）
1976.10.20 - 東京秘密ホテル けものの戯れ（日活）
1977.7.23 - 夜這い海女（日活）
1978.4.1 - 出張トルコ また行きます（日活）
1979.2.3 - 好色美容師 肉体の報酬（にっかつ）
1979.12.8 - 快楽昇天風呂（にっかつ）
1980.7.5 - 若後家海女 うずく（にっかつ）
1980.12.5 - セックスドック 淫らな治療（にっかつ）
1981.6.26 - 色情海女 ふんどし祭り（にっかつ）
1981.12.11 - 快楽温泉郷 女体風呂（にっかつ）
1982.7.9 - くいこみ海女 乱れ貝（にっかつ）
1982.12.3 - 温泉芸者 湯舟で一発（にっかつ）
1983.9.16 - お嬢さんの股ぐら（にっかつ）
1984.5.25 - 宇能鴻一郎の伊豆の踊子（にっかつ）
1984.12.8 - 女子大生 温泉芸者（にっかつ）
1985.7.20 - 絶倫海女 しまり貝（にっかつ）
1986.2.22 - スワップ診察室 密しぶき（にっかつ）
1986.9.23 - （生）ビデオルーム なまつば愛撫（にっかつ）
1987.9.19 - 痴漢サギ師 まさぐる指先（にっかつ撮影所）

脚本

監督業と並行して、脚本家としても才能を発揮しました。

1973.4.25 - （秘）大奥外伝 淫薬おんな狂乱（日活）
1974.9.11 - 江戸艶笑夜話 蛸と赤貝（日活）
1981.6.26 - 色情海女 ふんどし祭り（にっかつ）
1981.12.11 - 快楽温泉郷 女体風呂（にっかつ）
1982.7.9 - くいこみ海女 乱れ貝（にっかつ）
1982.12.3 - 温泉芸者 湯舟で一発（にっかつ）
1992.9.15 - 落陽（にっかつ撮影所）

製作

晩年はプロデューサーとして、作品を支えました。

1988.8.27 - 徳川の女帝 大奥（にっかつ、プロデューサー）
1992.9.15 - 落陽（にっかつ撮影所、総合プロデューサー・総監修）

著書

映画界だけでなく、落語に関する著書も残しています。

『新籠釣瓶 立川談志人情噺集』にっかつ芸能、1979年5月
『三遊亭円朝の遺言』新人物往来社、1996年。落語随筆集
『立川談志落語集 定本九州吹戻し』新人物往来社、2001年
* 『日活不良監督伝 だんびら一代 藤浦敦』（洋泉社 映画秘宝、2016年2月）

藤浦敦は、映画監督、プロデューサー、脚本家、落語作家として、多岐にわたる才能を発揮し、日本のエンターテイメント界に大きな足跡を残しました。

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