藤瀬政次郎

藤瀬政次郎

藤瀬政次郎（ふじせ まさじろう）は、慶応3年1月5日（1867年2月9日）に生まれ、昭和2年（1927年）1月7日に没した日本の実業家です。彼は、三井物産株式会社の取締役、そして後にトーメン（現・豊田通商）となる東洋綿花株式会社の代表取締役社長を務めました。

来歴

長崎県出身の藤瀬は、1885年に商法講習所（現在の一橋大学）を卒業後、三井物産株式会社に入社しました。同期には、後に株式会社読売新聞社社長となる高柳豊三郎がいました。藤瀬は、香港支店を経て上海支店長、綿花部長を歴任し、取締役へと昇進しました。その後、三井物産綿花部が分離独立する形で設立された東洋綿花株式会社の設立に関わり、代表取締役社長に就任しました。

藤瀬は政財界に幅広い人脈を持っており、東亜同文書院教授で南満州鉄道社員の山田純三郎を通じて、孫文の辛亥革命を支援しました。また、犬養毅や新渡戸稲造らとともに南洋協会の設立発起人となり、渋沢栄一や中島久万吉らとともに日米電信株式会社創立委員も務めました。晩年には、財団法人滝乃川学園の理事として、同学園創立者の石井亮一の事業を支援しました。石井とは親しい間柄であり、藤瀬の逝去に際し、石井は大きな悲しみを表したと伝えられています。

家族

妻の秀子は歌人として知られる一方、夫と同様に社会福祉への理解が深く、財団法人あそか会の理事なども務めました。秀子が晩年を過ごすために建設した神奈川県逗子市の別荘は、後に脇村義太郎の自宅となり、現在も蘆花記念公園に「旧脇村邸」として現存しています（非公開）。

子には、東北大学名誉教授の藤瀬新一郎（妻孝子は林博太郎次女）、日本貿易振興会理事の藤瀬英二郎（妻信子は益田太郎長女）、藤瀬清、NHK解説委員の藤瀬五郎（妻百代は山一證券創業者小池国三の娘）、藤瀬六郎がいます。

藤瀬政次郎は、実業家としてだけでなく、社会貢献家としても多大な足跡を残しました。

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