滝乃川学園

社会福祉法人滝乃川学園について

社会福祉法人滝乃川学園は、東京都国立市に本部を置く、日本[[聖公会]]系の社会福祉法人です。児童福祉法に基づく知的障害児施設「滝乃川学園児童部」や、障害者総合支援法に基づく知的障害者支援施設「滝乃川学園成人部」などを運営しています。知的障害のある方々への、教育・福祉サービスを提供する社会福祉事業者です。

日本初の知的障害児者施設

滝乃川学園は、日本で最初の知的障害児者のための教育・福祉施設として、その歴史は130年近くに及びます。東洋初の近代的教育・福祉施設としても知られています。「滝乃川」という名称は、学園創立の地である東京都北区滝野川に由来します。また、「学園」という言葉を日本で初めて使用したとも言われています。

創立者と皇室とのつながり

創立者の石井亮一は、立教大学の創立者であるチャニング・ウィリアムズ聖公会主教と師弟関係にありました。そのため、日本[[聖公会]]との関係が深く、現在でも立教学院や立教女学院と姉妹関係にあります。また、皇室との深いつながりも特徴です。貞明皇后以来、上皇ご夫妻に至るまで、皇室からの支援を受けてきました。

多様な福祉サービス

現在、滝乃川学園は、約300名の職員が、300名を超える利用者の支援を行っています。知的障害児の教育・生活支援事業から始まり、成人部を開設し、成人や高齢者にも対応できるようになりました。近年は、グループホーム事業の拡大や、認知症高齢者向けのグループホームも運営しています。また、地域で生活する知的障害児者やその家族への福祉サービスも提供しています。

教育機関としての起源

滝乃川学園は、日本初の知的障害児のための特別支援教育機関として始まりました。かつては、研究所や保母養成所なども含む総合福祉施設でした。知的障害者の自立を目指し、印刷所や農場などの実業部門も存在しました。これらの構想は、石井亮一夫妻が訪れたアメリカの知的障害学校を参考にしたと言われています。

戦後、社会福祉法人に改組され、教育機能は国公立の教育機関に移管されましたが、知的障害児者の生活支援施設としての役割を担っています。また、福祉文化の普及にも力を入れています。

広大な敷地と充実した施設

学園は、7,000坪を超える広大な敷地を持ち、園内には小川が流れ、自然豊かな環境です。重症心身障害や強度行動障害のある方々も受け入れており、支援の難しい障害に対応できる数少ない施設でもあります。また、グループホームは園外にも点在し、地域での生活を支援しています。

園内の遊休地を利用した「ガーデンプロジェクト」や、毎年開催される納涼祭は、地域住民との交流を深める場となっています。学園は、文化財や自然環境が評価され、年間1,000人を超える見学者が訪れる人気のスポットとなっています。

法人部門と付属施設

滝乃川学園は、以下の部門で構成されています。

法人本部：経営企画本部
石井亮一・筆子記念館：福祉文化担当
福祉事業部門：滝乃川学園児童部、滝乃川学園成人部、滝乃川学園地域支援部、滝乃川学園グループホーム部

付属施設として、石井亮一・筆子記念館、石井記念文庫、聖三一礼拝堂があります。記念館は学園創立者夫妻の事績を紹介する施設で、バリアフリー設計となっています。石井記念文庫は、石井亮一が収集した文献を保存しており、教育・福祉分野の研究者にとって貴重な資料となっています。聖三一礼拝堂は学園の精神的支柱であり、礼拝やコンサートなどに活用されています。

開かれた学園

滝乃川学園の正門には門扉がなく、日中は自由に立ち入りが可能です。園内には遊歩道やガーデン、カフェもあり、地域の憩いの場となっています。ただし、建物内は、プライバシー保護のため、関係者以外の立ち入りが制限されています。

交通アクセス

南武線矢川駅南口から徒歩10分
* 中央線国立駅南口からバス、「くにたち郷土文化館」停留所から徒歩1分

文化財

滝乃川学園には、本館（現・石井亮一・筆子記念館）や聖三一礼拝堂、鐘楼など、国の登録文化財や国立市の登録文化財があります。また、石井筆子愛用のアップライト[[ピアノ]]「天使のピアノ」も登録文化財です。これらの文化財は、知的障害児者福祉の歴史を伝える貴重な遺産です。

皇室との関係

滝乃川学園と皇室との関係は深く、特に貞明皇后からは多大な支援を受けました。その支援は、現在の明仁上皇・美智子上皇后にも受け継がれています。美智子上皇后は、学園の活動に深く関心を寄せ、たびたび私的に訪問されています。

学園の歴史

1891年、石井亮一が設立した「聖三一孤女学院」が学園の起源です。当初は孤児を対象としていましたが、知的障害のある少女たちへの関心から、知的障害児のための施設へと転換しました。

石井は、知的障害の研究のためアメリカに渡り、セガンが提唱した「生理学的教育法」を習得しました。帰国後、学園を「滝乃川学園」と改称し、日本初の知的障害児教育・福祉施設となりました。

1920年の火災で学園は大きな被害を受けましたが、貞明皇后の支援により再建されました。また、渋沢栄一が理事長に就任し、学園の経営を支えました。

戦時中は、経営が悪化しましたが、皇室や支援者たちの尽力で危機を乗り越えました。戦後、社会福祉法人となり、現在に至ります。近年は、地域支援やグループホーム事業を拡大しています。

メディアへの露出

石井亮一夫妻の業績は、長らく知られていませんでしたが、近年、その功績がメディアに取り上げられるようになりました。夫妻の生涯を描いたドラマ映画やドキュメンタリー映画が制作されたほか、NHKの番組でも特集されました。また、美智子上皇后が学園を訪問した様子も放映されています。

まとめ

滝乃川学園は、日本における知的障害児者福祉のパイオニアとして、130年以上にわたり、知的障害のある方々を支援してきました。その歴史と実績は、多くの人々に知られ、敬意を集めています。

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