藤田四郎

藤田四郎

藤田四郎（ふじた しろう、文久元年6月18日（1861年7月25日） - 昭和9年（1934年）1月9日）は、日本の農商務官僚であり、貴族院勅選議員を務めた人物です。

経歴

志摩国鳥羽（現在の三重県鳥羽市）出身。鳥羽藩士・藤田龍三の三男として越後国西蒲原郡弥彦村（現在の新潟県弥彦村）で生まれました。東京帝国大学法科大学（現在の東京大学法学部）を卒業後、明治18年（1885年）に外務省に入省し、外交官試補としてキャリアをスタートさせました。

その後、外務省参事官としてベルリンやウィーンの公使館に勤務し、国際感覚を磨きました。帰国後は逓信省に転じ、参事官と後藤象二郎逓信大臣の秘書官を兼任しました。明治25年（1892年）には農商務省に移り、参事官、後藤象二郎農商務大臣秘書官、特許局長、農務局長といった要職を歴任しました。

明治31年（1898年）5月から7月までと、同年11月からの2度、農商務次官を務め、日本の産業発展に大きく貢献しました。明治33年（1900年）に次官が総務長官に改称された後も留任し、翌年までその職責を果たしました。

退官後の1901年（明治34年）6月5日、貴族院議員に勅選され、政治の世界でも活躍しました。また、錦鶏間祗候としても天皇に近侍しました。

その他、日本火災保険社長、台湾製糖会長など、経済界でも重要な役割を担い、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。

栄典

藤田四郎は、その功績により、数々の栄典に輝いています。

1893年（明治26年）4月11日 - 正五位
1896年（明治29年）9月8日 - 勲四等旭日小綬章
1899年（明治32年）12月27日 - 勲三等瑞宝章
1916年（大正5年）4月1日 - 勲二等瑞宝章
1930年（昭和5年）12月5日 - 帝都復興記念章

トリビア

東京府芝区三田二丁目（現在の東京都港区三田2丁目）に存在した藤田四郎の邸宅は、第二次世界大戦の戦災を免れ、戦後に香川県に売却されました。現在は東京さぬき倶楽部として利用されており、敷地内には当時の土蔵や木造建築が現存し、往時の面影を偲ぶことができます。

家族・親族

藤田四郎は、名家の出身でもありました。

妻：井上馨の娘 聞子(1868-1910)
兄：藤田九二( -1924)：新潟新聞主筆、明訓学校校長
兄：藤田九三郎(1858-1892)：札幌農学校第2回生
妹：杉田すず(1865-1916)：杉田定一の妻

脚注

参考文献

『貴族院要覧（丙） 昭和7年12月増訂』貴族院事務局、1932年。
農商務省農務局長正五位藤田四郎叙勲ノ件（国立公文書館 アジア歴史資料センター）
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。
* 池内啓「杉田定一の一側面（3）」（福井県文書館研究紀要10/福井県文書館）2013.3

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