藤田浩司

日本のドラマー、ピアニスト、作曲家、プロデューサーとして多岐にわたる活動を展開する音楽家、藤田 浩司（ふじた こうじ）。

千葉県に生まれ、音楽の道を志す。学究肌でもあり、千葉県立長生高等学校を卒業後、国内有数の音楽教育機関である東京芸術大学音楽学部にて器楽科打楽器を専攻し、高度な演奏技術と音楽理論を修得した。さらに、音楽教育に対する深い知見を得るため、千葉大学大学院教育学研究科でも研鑽を積み、その課程を修了している。

藤田浩司のキャリアにおいて特筆すべきは、ラテンジャズ、特にキューバ音楽への深い傾倒と実践である。1997年には、アルバム『UnaMuchacha（ウナムチャーチャ）』を藤田浩司&The Cuban All Stars名義でリリースした。この作品の制作にあたっては、キューバ音楽界を代表するトップミュージシャンたちが多数参加した。メンバーには、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で世界的に知られるドラマーのロベルト・ガルシア、人気サルサバンド『バンボレオ』のピアニストであるラサロ・バルデス、伝説的な歌手オマーラ・ポルトゥオンドのバンドで活躍したベーシストのロベルティコ、そして世界的ピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバの初期メンバーであったドラマーのフェリペ・カブレラらが名を連ねている。これらの奏者はいずれも来日経験があり、日本でもその名を知られた存在であった。こうした錚々たる顔ぶれとの共演は、藤田浩司の音楽家としての実力と、キューバ音楽界との繋がりを示すものとなった。このアルバムはCubanJazzRecordsからCJ0007として発表され、注目を集めた。

その後も音楽探求の手を緩めず、2006年4月には、自身の名を冠したアルバム『Inafanta657（インファンタ657）』を同じくCubanJazzRecords（CJ0009）より発表する。この作品は、彼がドラマー、ピアニスト、作曲家、プロデューサーという全ての側面を発揮した意欲作であり、特筆すべきは、収録された全ての楽器演奏を藤田浩司自身が多重録音により一人で手がけている点である。これにより、彼の持つ多様な才能と楽器への深い理解が余すところなく表現されたアルバムとなった。

演奏活動に加え、音楽教育や普及活動にも力を入れている。自身のドラムスタジオ「ドラムスタジオ・ラ・フィエスタ」を主宰し、後進の指導にあたっている。ここでは、自身の専門とするラテンやキューバ音楽のリズムを中心に、幅広いドラム演奏技術の指導を行っていると考えられる。また、その豊富な知識と経験は著作としても結実しており、「ラテンキューバンドラム教本」を上・下巻として刊行している。この教本は、ラテン・キューバ音楽のドラム演奏法を体系的に学ぶための貴重な教材となっている。

さらに、ドラマーとしての活動が認められ、2008年からは世界的なシンバルメーカーであるジルジャンのエンドーサーを務めている。これは、彼のドラミング技術と音楽性が、楽器メーカーから公式に認められている証と言えるだろう。

藤田浩司は、クラシック音楽を修めた高い教育背景を持ちながら、情熱的なラテンジャズ、特にキューバ音楽の探求に深くコミットし、演奏、作曲、プロデュース、教育、著作と多方面で活躍する稀有な音楽家である。その活動は、日本におけるラテンジャズシーンの発展に貢献していると言えるだろう。

彼の活動に関するより詳しい情報は、公式サイトやブログなどで得ることができる。

もう一度検索