藪漕ぎ

藪漕ぎとは

藪漕ぎ（やぶこぎ）とは、登山道などの道がない場所で、草木や低木が生い茂る中を、手や体を使ってかき分けながら進む行為を指します。その様子が、まるで海を漕ぐように見えることから、この名前がついたと言われています。

藪漕ぎの技術

藪漕ぎは、ただやみくもに草木をかき分けるだけでなく、効率よく進むための技術も必要です。特に登山においては、沢登りの終点から稜線へ上がる際や、登山道を外れてしまった場合など、必要となることがあります。

山のグレーディングでは、藪漕ぎが必要となる山は難易度が高いとされ、深い藪漕ぎが必要な山はさらに難易度が高くなります。藪の中では、方向感覚が失われやすく、現在地の把握が困難になることもあるため、注意が必要です。道なき場所や雪山では、積極的にルートを維持していくことが求められます。

また、地図だけでは読み取れない情報を活用し、適切なルートを選択するルートファインディングにおいても、藪の中のどこが通りやすいかを見極めることが重要です。

藪漕ぎが行われる場面

登山以外にも、山菜採りや渓流釣りなどでも藪漕ぎが行われることがあります。

藪漕ぎの注意点

藪の中には、トゲのある植物やウルシなどの肌をかぶれさせる植物が生えていることがあります。肌を傷つけたり、かぶれたりしないように注意が必要です。

また、マムシなどの毒を持つ生物やハチの巣が存在する可能性もあります。藪や草地は、重症熱性血小板減少症候群（SFTS）を媒介するマダニの生息場所でもあります。マダニに刺されるとSFTSを発症する危険性があるため、藪漕ぎはできるだけ避け、やむを得ず行った場合は、すぐに衣類を洗濯し、体を洗うなどの対策をすることが大切です。

藪漕ぎを行う上での対策

• - 長袖、長ズボンを着用し、肌の露出を避ける。
• - 帽子や手袋を着用する。
• - 虫よけスプレーを使用する。
• - マダニに刺されないように注意する。
• - 万が一マダニに刺された場合は、病院で適切な処置を受ける。
• - 緊急時に備え、地図、コンパス、GPSなどの道具を携帯する。
• - 複数人で行動する。

まとめ

藪漕ぎは、自然の中を探索する上で、時に必要となる行為です。危険も伴いますが、正しい知識と対策を身につければ、安全に楽しむことができます。万全の準備をして、藪漕ぎに挑戦しましょう。

参考文献

• - 鄭仁和（訳・編）『アメリカ陸軍サバイバルマニュアル』朝日ソノラマ ISBN 4257050284
• - ジョン・ワイズマン『SASサバイバルハンドブック』並木書房 ISBN 4890630260
• - 工藤章典『サバイバル読本』主婦と生活社 ISBN 439110508X
• - 平山隆一『フィールドナイフの使い方』並木書房 ISBN 4890630694
• - 柘植久慶『サバイバル・バイブル』原書房 ISBN 4562026146

関連項目

• - マダニ
• - ルートファインディング
• - サバイバル

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