蘆名盛隆

蘆名盛隆とは

蘆名盛隆（あしな もりたか）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、陸奥国の戦国大名である蘆名氏の18代当主です。

生涯

出自と家督相続

永禄4年（1561年）、須賀川二階堂氏の当主・二階堂盛義の長男として生まれました。母は伊達晴宗の娘である阿南姫であり、盛隆は蘆名盛高の玄孫にあたります。永禄8年（1565年）、父・盛義が蘆名盛氏に敗れて降伏した際、人質として会津に送られました。

天正2年（1574年）、蘆名氏17代当主・蘆名盛興が後継者を残さずに亡くなると、盛興の未亡人である彦姫と結婚し、盛氏の養子となって蘆名氏の18代当主となりました。天正8年（1580年）に盛氏が亡くなると、実権を掌握しました。

越後工作

天正9年（1581年）頃、盛隆は叔父の伊達輝宗と共に、越後国で上杉景勝に対して不満を抱く新発田重家を支援する動きを見せます。これは、上杉氏を挟撃しようとする織田信長の意向も背景にあったとされています。盛隆は信長と交渉を行い、名馬や蝋燭を献上した見返りとして三浦介に任官されるよう朝廷に斡旋を受けました。これにより、盛隆は上杉景勝との関係を疎遠にし、新発田重家を支援する姿勢を明確にしました。

本国での活躍

蘆名氏の当主となった盛隆は、実家である二階堂氏の勢力回復にも尽力しました。しかし、二階堂氏出身の盛隆に反感を抱く家臣による反乱が頻発しました。また、上杉景勝は蘆名家中の撹乱を狙い、盛隆に反抗的な重臣たちを調略し、蘆名氏を揺さぶりました。

天正12年（1584年）には、盛隆が出羽三山に参詣している隙に、家臣の栗村盛胤らに居城の黒川城を占拠されますが、盛隆はこれを鎮圧し、反乱を起こした重臣を降伏させました。

最期

天正12年（1584年）10月6日、黒川城内で寵臣であった大庭三左衛門に襲撃され、24歳という若さで亡くなりました。盛隆の死後、蘆名氏の家督は生後1ヶ月の息子・亀王丸が継ぎますが、幼少のため、盛隆の妻である彦姫が後見人となり、伊達輝宗の支援を受けました。しかし、伊達氏は自らの息子を蘆名氏の当主にしようと画策し、佐竹氏の介入もあって蘆名家中は混乱しました。

その後、蘆名氏は伊達氏との戦いに敗れ、亀王丸も夭逝するなど、盛隆の早すぎる死が蘆名氏滅亡を早めた要因の一つとなりました。

人物評と逸話

『奥羽永慶軍記』では、盛隆は勇猛ではあったが、知恵や仁徳がなかったと評されています。また、『新編会津風土記』や『武功雑記』などには、盛隆が男色を好んだという逸話が残されています。大庭三左衛門による盛隆襲撃の理由も、男色のもつれが原因であるとされています。

系譜

正室：彦姫（伊達晴宗の四女、伊達輝宗の養女）
子：蘆名亀王丸

まとめ

蘆名盛隆は、若くして蘆名氏の当主となり、激動の戦国時代を駆け抜けた武将です。越後での外交工作や家臣の反乱、そして突然の死など、波乱に満ちた生涯を送りました。彼の早すぎる死が、蘆名氏の滅亡を早めたと言えるでしょう。

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