蘆野資泰 (民部少輔)

蘆野資泰: 江戸時代前期の旗本

生い立ちと家督相続

蘆野資泰（あしの すけやす）は、江戸時代前期に活躍した旗本であり、蘆野氏の18代目当主である。彼の家系は下野国の那須氏の庶流であり、伝統的に「那須七騎」の一つに名を連ねている。資泰は、前当主である蘆野政泰の長男として生まれ、知行2千700石を有していた。

慶長16年（1611年）、資泰がわずか20歳の頃、急遽家督を継ぐことになった。これは、父である政泰が突然の死を迎えたためである。この際、蘆野氏は家宝の刀を江戸幕府に献上し、新しい当主としての足場を固めることに努めた。

以降、蘆野氏は代々采地に住み、毎年江戸に赴いて年首を祝う習慣を続けた。

旗本としての活動

資泰の旗本としてのキャリアは、慶長19年（1614年）の安房国の里見忠義の改易に始まる。この際、内藤政長や本多忠朝と共に安房に赴き、館山城の守衛任務を果たした。さらに、同年冬と翌年の夏に実施された大坂の陣では、両方の軍に参加し、本多正信の部隊に属して戦った。特に夏の陣では、大坂方から34人の首を挙げ、その戦功を称えられた。

元和3年（1617年）には、徳川秀忠の上洛に際して供奉し、その後も続けて上洛に参加した。元和5年（1619年）にも供奉し、秋元泰朝に従って駿府城の城番、さらには同年に松平勝隆らと共に大坂城番としても職務を遂行した。

特に、寛永17年（1640年）には、徳川家光の日光社参に先立ち、日光東照宮の社殿修理を命じられるなど、幕府への重要な奉仕も行っていた。

後継者問題

資泰にとって、晩年の最も大きな悩みは後継者問題であった。正室との間には子供が生まれなかったため、他家から養子を迎えることを検討し、下野国の旗本である岡本義保に声をかけた。岡本はこれを快諾し、資泰の弟子にあたる岡本万吉（後の岡本義則）を養子として迎える話が進められた。

しかし、後継者を巡る調整は難航した。資泰には庶子が存在し、家臣団はその庶子を跡継ぎとして推す意見が多かった。資泰は庶子を後継者とすることに決め、彼に蘆野左近と名乗らせることで元服を果たさせ、養子縁組の約束を反故にした。この決断に対し、岡本は激怒し、面目を失った形になったが、この件は後の岡本家で発生した「泉騒動」の遠因となったと言われている。

結局、資泰は正保3年（1646年）の8月19日に他界し、その後を蘆野左近、すなわち蘆野資俊が継承することとなった。

参考文献

• - 『寛政重修諸家譜』
• - 矢板市史編集委員会編『矢板市史』矢板市、1981年。

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