蘇嘉

蘇嘉（そか）は、古代中国、前漢時代の官吏であり、奉車都尉（ほうしゃとつい）という役職を務めていました。彼の生年は明らかになっていませんが、没年は天漢元年（紀元前100年）以降、後元2年（紀元前87年）以前であると考えられています。

蘇嘉は、将軍として匈奴との戦いで活躍した蘇建（そけん）の長男として生まれました。弟には、忠義を尽くしたことで知られる蘇武（そぶ）と蘇賢（そけん）がおり、妹が2人いました。兄弟は父の功績により、若くして郎（ろう）という官職を得ました。

天漢元年（紀元前100年）、弟の蘇武は使者として匈奴に派遣されましたが、副使が起こした暗殺未遂事件に巻き込まれ、捕虜となってしまいます。蘇嘉は兄として、弟の身を案じていたことでしょう。

蘇嘉は武帝（ぶてい）に仕え、奉車都尉を務めていました。ある時、武帝が雍（よう、現在の陝西省鳳翔県）にある棫陽宮（いきようきゅう）へ行く際、蘇嘉が道を掃除していたところ、誤って柱に触れてしまい、皇帝の車の轅（ながえ、車の柄の部分）を折ってしまいました。これは皇帝に対する大不敬にあたる罪とされ、蘇嘉は剣に伏して自害するという悲劇的な最期を遂げました。

その後、匈奴に仕えていた李陵（りりょう）が、蘇嘉の死を捕虜となっていた蘇武に伝え、匈奴に仕えるよう勧めました。しかし、蘇武はこれに応じず、節を守り抜いたとされています。蘇嘉の死は、昭帝（しょうてい）が即位する後元2年（紀元前87年）よりも前の出来事でした。

蘇嘉の死は、弟である蘇武の人生に大きな影響を与えたと考えられます。兄の不名誉な死を知った蘇武は、より一層、漢への忠誠を誓ったのかもしれません。

参考文献

班固『漢書』、巻54、李広蘇建伝第24。
中央研究院・歴史語言研究所「漢籍電子文献資料庫」。
* 小竹武夫訳『漢書』5（列伝II）、筑摩書店、ちくま学芸文庫、1998年。

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