蘇轍

蘇轍（そ てつ）

蘇轍（1039年 - 1112年）は、中国・北宋時代の文人、官僚であり、唐宋八大家の一人として名を連ねています。父は蘇洵、兄は著名な文人である蘇軾です。字は子由、号は潁浜遺老。

生涯

蘇轍は眉州眉山県（現在の四川省眉山市東坡区）に生まれました。19歳で兄と共に進士に合格。当初は商州軍事推官に任じられますが、父の介護のため都へ。その後、大名府推官などを歴任します。

政治的には、王安石の新法に反対したため、地方官への転出を余儀なくされました。兄・蘇軾が「烏台の詩案」で罪を得た際には連座し、左遷されるなど不遇な時期を過ごします。

哲宗の即位後、中央に召還され、秘書省校書郎から右司諫、中書舎人、戸部侍郎と昇進。翰林学士となり権吏部尚書・御史中丞・尚書右丞を経て門下侍郎にまで昇進しました。しかし、直言が帝の意にそぐわず、汝州知州に左遷。その後も袁州知州となりますが、赴任前に朝議大夫に落とされ、各地を転々としました。徽宗の時代になっても地方官として過ごし、晩年は許州に隠棲し、潁浜遺老と号して研究に没頭。74歳で没しました。

死後、端明殿学士が追贈され、南宋時代には文定と諡られています。

業績

蘇轍は文学者として多くの著作を残しました。その作品は、兄・蘇軾に比べると穏やかで淡泊、沈静簡潔な人柄が表れていると評されます。また、書にも優れていました。

主な著作は以下の通りです。

『集』50巻
『後集』24巻
『三集』10巻
『應詔集』12巻
『詩集傳』20巻
『春秋集解』12巻
『論語拾遺』1巻
『孟子解』1巻
『古史』60巻
『龍川略志』10巻
『別志』8巻
『道徳経解』2巻


また、兄・蘇軾を深く敬愛しており、その死を悼んで長文の墓誌銘「亡兄子瞻端明墓誌銘」を著しました。この墓誌銘は、兄弟の絆の深さを伝えるものとして知られています。

蘇轍は、政治的な不遇に見舞われながらも、文学を通して自己を表現し、後世に名を残しました。彼の作品は、宋代の文化を理解する上で貴重な資料となっています。

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