袁州

袁州：隋代から元代にかけての行政区画の変遷

袁州（えんしゅう）は、中国にかつて存在した州であり、隋代から元代にかけて、現在の江西省宜春市一帯に設置されていました。その歴史は、隋代に始まり、唐代、宋代、元代と時代を経るごとに、その名称や管轄する範囲を変化させていきました。

隋代

589年（開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼした際、宜陽県に袁州が初めて置かれました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止され郡が置かれると、袁州は宜春郡と改称され、その下には3つの県が置かれました。これにより、袁州は一時的に郡としての役割を担うことになります。

唐代

621年（武徳4年）、唐が蕭銑を平定すると、宜春郡は再び袁州と改められました。その後、742年（天宝元年）には再び宜春郡と改称されますが、758年（乾元元年）には宜春郡は袁州の称に戻されました。唐代の袁州は江南西道に属し、宜春・萍郷・新渝の3県を管轄していました。このように、唐代においては袁州と宜春郡の名称が交互に使用されるという変遷を辿りました。

宋代

宋代に入ると、袁州は江南西路に属し、宜春・分宜・萍郷・万載の4県を管轄するようになります。この時代には、管轄する県の数が増え、袁州の地域における重要性が増したことが伺えます。

元代

1276年（至元13年）、元により袁州に総管府が置かれました。さらに、1282年（至元19年）には、袁州総管府は袁州路と改められました。袁州路は江西等処行中書省に属し、録事司と宜春・分宜・万載の3県と萍郷州を管轄しました。1360年には、朱元璋により袁州路は袁州府と改められました。元代には、総管府、路、府と名称が変わり、行政組織としての変化が見られました。

明代以降

明代に入ると、袁州府は江西省に属し、宜春・分宜・萍郷・万載の4県を管轄しました。清代も同様に、袁州府は江西省に属し、宜春・分宜・萍郷・万載の4県を管轄していました。しかし、1913年、中華民国により袁州府は廃止され、袁州という行政区画はその歴史に幕を閉じました。

袁州は、隋代から元代、そして明代、清代へと時代を重ねる中で、その名称や管轄範囲を変化させながらも、宜春市一帯の行政中心地としての役割を果たし続けました。その変遷は、中国の地方行政制度の歴史を理解する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

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