虹をよぶ拳

『虹をよぶ拳』

『虹をよぶ拳』は、原作：梶原一騎、作画：つのだじろうによる日本の漫画です。本作は1969年から1971年まで『冒険王』（秋田書店）で連載され、全7巻の単行本がサンデーコミックスより刊行されました。後に2007年に再編集された版がマンガショップから全4巻として発行され、2019年にはゴマブックスより電子書籍版が登場しました。

概要

本作品は、1960年代から70年代にかけての日本の社会状況を反映した内容が特徴です。「断絶」という流行語が象徴するように、主人公は両親が持つ価値観に反発し、偶然出会った空手を通じて自己成長の道を模索します。このストーリーは『空手バカ一代』においても描かれるテーマを引き継いでいますが、実在の人物は登場せず、あくまでフィクションとして展開されています。

作中では大山倍達の協力があり、空手に関する描写は実際の極真会館の活動を参考にしています。読者は登場人物の成長過程を通じて、空手が持つ魅力や精神性を理解することができるでしょう。

あらすじ

物語の中心となるのは、春日牧彦という名の中学生です。勉強は得意でも運動は苦手な彼は、共働きの両親と共に新しい団地に引っ越してきます。両親からは一流大学へ進学し、一流企業で成功することを強く求められており、牧彦の心には次第に鬱憤が溜まっていきます。しかし、彼は表面的には両親の期待に応えようと、平穏な日常を送っていました。

そんなある日、牧彦の家に刃物を持った2人組の強盗が押し入ります。父親は無抵抗だったものの、偶然居合わせた同級生の赤垣竜平が空手を使って強盗を撃退します。この出来事が牧彦に強い衝撃を与え、彼は両親の反対を押し切って空手を習い始める決意を固めます。

空手大会で入賞した牧彦は、次第に情熱が高まり、家出を果たします。人身売買的な状況で「タコ部屋」に連れ去られるも、そこでの生活を逆境と捉え、空手の修行に励みます。1年後、用心棒に勝利し脱出することに成功した彼は、さらなる試練へと挑んでいきます。ライバルの早乙女との対決、キックボクシング、ムエタイ選手との戦いが待っています。

牧彦の物事に対する視点や価値観はこれらの経験を経て成長し、空手を通じて自身を見つめ直すことができるようになります。彼の冒険は、読者に勇気や自己のアイデンティティを見つけ出す手助けをすることでしょう。

書誌情報

• - 原作/作画: 梶原一騎・つのだじろう
• - 出版社: 秋田書店（サンデーコミックス）全7巻
• - 初版刊行日: 1970年2月5日、ISBN 978-4-253-06162-9 など
• - 再編集版: 2007年、マンガショップ出版 全4巻
• - 電子書籍版: 2019年、ゴマブックス

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