虹作戦

虹作戦：昭和天皇暗殺未遂事件の詳細

虹作戦とは、日本のテロ組織「東アジア反日武装戦線」が計画した、昭和天皇の暗殺を目的としたテロ計画です。この作戦は、日本政府に対する反乱の一環として企てられ、1974年8月14日、昭和天皇が乗車する列車を爆破する計画でした。しかし、最終的には実行されず、未遂に終わりました。

作戦の立案

1970年春、法政大学の学生だった大道寺将司らが「Lクラス闘争委員会」を結成。この組織は過激化の一途をたどり、極端な反日思想を抱くようになります。1972年冬、「東アジア反日武装戦線」と名乗り、武装闘争の準備を開始。彼らのターゲットには、第二次世界大戦で多くの人々を苦しめたとされる昭和天皇がいました。

1973年頃から暗殺計画が浮上し、1974年に具体化。犯人グループは、昭和天皇が毎年8月14日に那須御用邸から皇居へ列車で帰還する行動パターンを掴みました。彼らは、このお召し列車を爆破することを決意し、爆弾の設置場所を東北本線の荒川橋梁（赤羽-川口間）に定めました。作戦決行日を「昭和時代を終わらせる日」と捉え、彼らは高揚していたといいます。

作戦実行に向けて、「セジット」という爆薬の開発が進められました。1974年8月14日の決行日に間に合わせるため、爆弾は急ピッチで製造されました。当初は無線による遠隔操作で列車通過時に鉄橋を爆破する予定でしたが、技術的な問題で断念。有線方式での爆破を計画することになりました。

決行と未遂

1974年8月14日の作戦実施に向け、犯人グループは黒装束に身を包み、改造モデルガンとナイフで武装。爆弾を爆発させるための電線敷設を開始しました。しかし、作業2日目の深夜、橋脚付近を徘徊する正体不明の人物を発見。彼らは監視や包囲を警戒し、計画が露見することを恐れ、電線敷設を断念しました。証拠隠滅のため、電線をすべて回収しました。

犯人グループは、お召し列車の警備体制を十分に考慮しておらず、電線敷設が完了していたとしても、事前に察知される可能性がありました。実際、作戦当日の荒川鉄橋では、警察官が不審物を捜索し、警備にあたっていました。また、爆弾を仕掛けようとしたのは東北本線の上り線でしたが、実際にお召し列車が通過したのは隣接する東北貨物線の上り線でした。

この虹作戦で製造された爆薬「セジット」は、後に三菱重工[[爆破事件]]に使用され、多数の死傷者を出す大惨事となりました。この事件が予想以上の惨事となったのは、虹作戦で使用予定だった強力な爆弾を市街地の歩道に設置したためです。

1975年5月19日、メンバーが一斉逮捕され、虹作戦が再度実行されることはありませんでした。

作戦名の由来

作戦名「虹作戦」は、映画『戦場にかける橋』で橋が爆破され列車が川に転落するシーンと、「虹の彼方に」という歌に由来しています。大道寺将司が「虹の彼方に」を口ずさんだことがきっかけで、「戦場にかける橋」と「虹の彼方に」が結びつき、「虹をかける橋」→「虹をかける作戦」→「虹作戦」という名前に決定しました。

参考文献

松下竜一『狼煙を見よ』読売新聞社、1997年

関連項目

日本の新左翼
極左暴力集団
連続企業爆破事件
菊タブー
暗殺
反[[皇室闘争]]
オウム真理教の国家転覆計画

外部リンク

* 虹作戦＝1974年八月一四日 1976年10月発行「東アジア反日武装戦線」を救援する会通信　第2号の復刻版

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